大日精化 - 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会資料 ★★

基本情報

証券コード:4116

2026年3月期第2四半期(中間期)決算説明会

大日精化工業株式会社

2025年12月4日


サマリー

2026年3月期 第2四半期(中間期)実績

項目 実績 前年同期比
売上高 617億円 △0.7%
営業利益 41億円 +18.1%
親会社株主に帰属する当期(中間)純利益 37億円 △53.1%

【概況】

  • 自動車向けは、一部採用車種低迷も回復。
  • 液晶ディスプレイ向けの顔料は前年同期並み、コーティング剤は第2四半期以降低調。
  • 海外は全般的に好調も、中国・米国現地法人の低調により前年同期には及ばず。

2026年3月期 業績予想

項目 通期予想 前期実績比
売上高 1,273億円 +2.0%
営業利益 72億円 +2.8%
親会社株主に帰属する当期純利益 69億円 △32.9%

【見通し】

  • 自動車向け、液晶ディスプレイ向けともに堅調に推移する見通し。
  • 特別利益として投資有価証券売却益15億円計上(P16参照)。

株主還元

  • 8月に自己株式11億円取得。
  • 中間配当金87円(うち特別配当15円)。
  • 期末配当金予想 174円(うち特別配当30円)。
  • 旧川口製造事業所跡地の譲渡益に伴う株主還元として、2024年3月期から4期間にわたり、毎期30円(2027年3月期は分割後基準7.5円)の特別配当を実施。

2026年3月期第2四半期(中間期)連結決算

連結損益計算書

単位:億円・切捨 2025年3月期 第2四半期(中間期)実績 2026年3月期 第2四半期(中間期)実績 増減(対前年同期実績) 増減率(対前年同期実績) 2026年3月期 第2四半期(中間期)当初予想(5月15日開示) 達成率
売上高*1 621 617 △4 (△0.7%) 642 96.1%
営業利益 34 41 6 (18.1%) 36 114.0%
経常利益 37 44 6 (18.1%) 36 114.0%
親会社株主に帰属する当期(中間)純利益 80 37 △42 (△53.1%) 60 109.6%
EBITDA*2 58 66 7 (12.9%) 60 109.6%
研究開発費*3 5(9) 5(8)
海外売上高比率 27.0% 25.2%
1株当たり当期(中間)純利益 467.67円 219.27円
為替レート $153.68円 €163.94円 $146.16円 €164.11円
ナフサ価格 77,950円 64,750円

*1「収益認識会計基準」適用により、売上高に含まれる有償受給材料を売上原価と相殺表示している金額 2025年3月期第2四半期(中間期)196億円 2026年3月期第2四半期(中間期)195億円
*2 EBITDA =営業利益+減価償却費
*3 ()内は、既存製品の改良等で発生した技術関連費用

【連結損益計算書概況】

  • 売上高:自動車向けコンパウンド・着色剤は自動車メーカーの減産の影響が無くなり回復、ウレタン樹脂は採用車種の販売不振により低調に推移。液晶ディスプレイ向けは、顔料は前年同期並みに推移もコーティング剤は第2四半期以降低調に推移。
  • 営業利益:国内は販売数量の増加、販売価格の改定が進み増益。海外は中国華南・米国現地法人が低調に推移。
  • 親会社株主に帰属する当期(中間)純利益:特別利益に投資有価証券売却益6億円を計上。

セグメント別連結損益計算書

単位:億円・切捨 2025年3月期 第2四半期(中間期)実績 2026年3月期 第2四半期(中間期)実績 増減(対前年同期実績) 増減率(対前年同期実績) 2026年3月期 第2四半期(中間期)当初予想(5月15日開示) 達成率
売上高
カラー&ファンクショナルプロダクト 334 339 5 (1.5%) 1.5% 351 96.9%
ポリマー&コーティングマテリアル 125 121 △4 (△3.2%) △3.2% 127 95.8%
グラフィック&プリンティングマテリアル 160 155 △4 (△3.1%) △3.1% 164 94.7%
合計 売上高 621 617 △4 (△0.7%) △0.7% 642 96.1%
営業利益
カラー&ファンクショナルプロダクト 15 22 7 (47.1%) 47.1% 15 147.3%
ポリマー&コーティングマテリアル 16 13 △3 (△18.5%) △18.5% 17 80.8%
グラフィック&プリンティングマテリアル 2 5 2 (74.6%) 74.6% 4 127.0%
合計 営業利益 34 41 6 (18.1%) 18.1% 36 114.0%

業界別の売上高、外部環境と実績

業界 前年同期比(売上高) 外部環境 2026年3月期 第2四半期(中間期)実績
輸送機器 △0.5% 米国関税政策による影響で米国向けの輸出は減少傾向も、過度に悲観的な見方は後退した 中国車メーカーがシェアを伸ばしている 自動車メーカーの減産影響が無くなり、コンパウンド、着色剤は国内向けを中心に回復。高耐久性ウレタン樹脂は、採用車種の販売不振により低調 海外は、タイで新規テーマが寄与も、日系車の販売不振により低調に推移 水系表面処理剤(環境対応型ウレタン樹脂)は、採用車種の販売不振により低調
情報・電子 △1.3% パネルメーカーの稼働率は、大型テレビの販売不振を受けて低下傾向 • 印刷の版があるオフセット印刷から、版が不要なデジタル印刷の需要が拡大 • 電化製品の高機能化、小型化が進行 カラーフィルター用顔料は、新規品の立ち上がりがあり好調 コーティング剤は、液晶パネル向け、半導体向けが若干の出荷減 ラベル向けの増加があり、インクジェット用顔料・分散液は堅調に推移 スマートフォン向け耐熱性高機能樹脂は好調に推移
包装 △1.4% • 国内は、物価高による買い控えの影響はあったものの、猛暑やインバウンド消費の拡大もあり堅調に推移 • 海外は、堅調な経済成長による市場拡大を見込む • 脱プラスチック、容器簡略化の進展 • グラビアインキは、国内は前年同期並、海外は低調も、価格改定による増収あり • バイオマスインキ、水性フレキソインキをはじめとするサステナビリティ貢献製品の販売は伸長
産業資材 △1.3% • 熱転写リボンは、食品包装向けを中心に堅調に推移 • 電力ケーブルは、張り替えや再生可能エネルギー需要で、底堅い動きの見通し • 感熱転写用コーティング剤は、国内中心に堅調に推移 • 電力ケーブルは、一時的に低調も、中期的には安定した需要を見込む
建材・設備 +2.1% • 国内の住宅着工件数は、コロナ禍の落ち込みからは回復も、今後は漸減傾向 • リフォーム需要は一時的には減少も中長期的には上昇傾向 • 国内の新築向けは低調が続いているが、リフォーム向けは堅調な動き

連結営業利益の増減要因

  • 販売数量:自動車向けコンパウンド・着色剤は自動車メーカーの減産の影響が無くなり回復、ウレタン樹脂は採用車種の販売不振により低調に推移。液晶ディスプレイ向けは、顔料は前年同期並みに推移もコーティング剤は第2四半期以降低調に推移。
  • 原材料・販売価格:販売価格は前期からの原材料の値上げ分を含む。
  • 費用:労務費及び設備投資による減価償却費の増加。
  • 海外法人:海外は全般的に好調も、中国・米国現地法人の低調により前年同期には及ばず。

セグメント別概況 - カラー&ファンクショナルプロダクト -

顔料及び顔料の2次加工製品

  • 情報・電子業界向けの液晶パネル向け顔料が好調。輸送機器業界向けのコンパウンド・着色剤は回復して増益。
戦略製品 対前年同期(売上高) 対前年同期(営業利益) 実績コメント
カラーフィルター用顔料 +13.9% +10.3% パネル業界は生産調整に入っているが、新規品の立ち上がりがあり好調
自動車用コンパウンド・着色剤 +10.1% +6.3% 自動車メーカーの減産影響が無くなり、国内向けを中心に回復
機能性材料 - 33.4% - 7.4% 半導体向け塗料は在庫調整で低調、新規品は得意先や展示会を通じて引続き拡販中

セグメント別概況 - ポリマー&コーティングマテリアル -

合成樹脂及び特殊コーティング剤

  • ウレタン樹脂は、採用車種の販売不振により低調、情報・電子業界向けのコーティング剤も低調となり減益。
戦略製品 対前年同期(売上高) 対前年同期(営業利益) 実績コメント
環境対応型ウレタン樹脂 - 8.3% - 10.5% 自動車向けの水性表面処理剤は中国では堅調も、国内は低調
耐熱性高機能樹脂 +15.3% - 2.0% 高機能化が進むスマートフォン向けが好調に推移
情報・電子業界向けコート剤 - 2.5% - 5.6% 液晶パネル向け、半導体向けが若干の出荷減

セグメント別概況 - グラフィック&プリンティングマテリアル -

パッケージ用及び広告出版用インキ

  • 海外は競争激化により販売減、国内の包装業界向けは前年同期並みに推移も収益改善を進め増益を確保。
戦略製品 対前年同期(売上高) 対予想(売上高) 2026年3月期第2四半期(中間期)実績コメント(売上高)
ラベル用インキ、水性フレキソ +5.3% +3.8% ラベル向けは猛暑及びインバウンド消費拡大もあり堅調。水性フレキソは大人用オムツが伸長

連結貸借対照表

  • 総資産増:業績好調により「売掛金及び受取手形」、「棚卸資産」増加も、設備投資・配当等により「現金及び預金」減少、株価上昇に伴い「投資有価証券」増加、インドネシア現地法人での土地取得により「無形固定資産」増加。
  • 負債微減:海外現地法人で「支払手形及び買掛金」減少。
  • 純資産増:「利益剰余金」増加、自己株式の取得(11億円)・処分(4億円)を実施。

連結キャッシュ・フロー計算書

  • 営業CF:税金等調整前当期純利益+55億円・減価償却費+25億円・運転資本(売掛債権・仕入債務・棚卸資産・その他)△35億円
  • 投資CF:設備投資△32億円・投資有価証券の売却による収入+9億円・定期預金の払戻+11億円
  • 財務CF:借入金の増加+8億円・配当金支払い△15億円・自己株式の取得△11億円

2026年3月期連結業績予想

連結損益計算書

【販売先業界動向】

  • 輸送機器業界向けは、米国関税による悪化シナリオは後退したが、下期は上期に比較して減速の見通し。
  • 情報・電子業界向けは、デジタル印刷の需要が拡大しインクジェット用顔料等が伸長、液晶ディスプレイ向けは在庫調整により低調の見通し。
  • 海外は、インドネシア現地法人で競争激化により売上が減少していたが、第3四半期以降は回復の見通し。
  • 特別利益に投資有価証券売却益15億円の計上に伴う修正。
単位:億円・切捨 2025年3月期 実績 2026年3月期 今回予想(11月10日修正) 増減(対前期実績) 増減率(対前期実績) 2026年3月期 当初予想(5月15日開示) 増減率
売上高 1,247 1,273 25 (2.0%) 1,273 -
営業利益 70 72 1 (2.8%) 72 -
経常利益 77 82 4 (5.6%) 82 -
親会社株主に帰属する当期純利益 102 69 △33 (△32.9%) 122 -
EBITDA* 119 122 4 (2.8%) 122 -
研究開発費 29
海外売上高比率 27.1%
1株当たり当期純利益 599.63円 404.22円
為替レート $152.36円 €162.21円 $148.00円 €159.00円
ナフサ価格 75,625円 67,000円

*EBITDA =営業利益+減価償却費

外部環境予想(業界別)及び2026年3月期下期のトレンド

業界 上期 →下期(売上高) 外部環境予想 関連する戦略製品
輸送機器 DOWN 米国関税政策による影響で米国向けの輸出は減少傾向も、過度に悲観的な見方は後退した 中国車メーカーがシェアを伸ばしている コンパウンド、着色剤高耐久性ウレタン樹脂環境対応型ウレタン樹脂
情報・電子 UP FLAT パネルメーカーの稼働率は、大型テレビの販売不振を受けて低下傾向 版が不要なデジタル印刷の需要が拡大 •電化製品の高機能化、小型化が進行 カラーフィルター用顔料コーティング剤インクジェット用顔料・分散液耐熱性高機能樹脂
包装 FLAT •国内は、ラベル向けなど猛暑による消費の拡大があったが、暑い時期が過ぎて、需要の落ち着きが見られる •海外は、堅調な経済成長による市場拡大を見込む ラベル用インキ、水性フレキソアジア向けインキ

株主還元

株式分割

  • 目的:当社株式の投資単位当たりの金額を引き下げることにより、より多くの投資家の皆さまが投資しやすい環境を整えることで、投資家層の拡大と当社株式の流動性の向上を図ること。
  • 比率:普通株式1株につき4株の割合。
  • 効力発生日:2026年4月1日(水)(予定)。
2026年3月期 2027年3月期
分割考慮前 分割考慮後 分割考慮前 分割考慮後
分割比率 1 : 4
基準日 2026年3月31日
効力発生日 2026年4月1日

配当政策

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の観点から、将来の事業展開、経営基盤の強化並びに内部留保の充実等の事項を総合的に勘案しつつ、株主各位への利益還元を重視した配当政策を継続的に実施することを基本方針としております。

配当方針

  • 2026年3月期の中間配当金:1株当たり87円(普通配当72円+特別配当15円)。
  • 1株当たり年間配当金(予想):174円(普通配当144円+特別配当30円)。
  • 中期経営計画期間3か年(2027年3月期まで)の株主還元方針(下線は株式分割による影響を考慮したもの、実質的な変更は無し)。

中期経営計画2年目の進捗 設備投資計画進捗

(単位:億円)

2025年3月期 実績 2026年3月期 第2四半期(中間期)実績 2026年3月期 通期見込
戦略製品投資 12億円 9億円 11億円
通常投資 29億円 19億円 33億円
合計 41億円 27億円 44億円
  • 2026年3月期第2四半期(中間期)は、戦略製品投資として、HPU(ヒドロキシポリウレタン)* 新製法パイロットプラント、タイ現地法人の増能力などを実施。
  • インドネシア現地法人の工場隣地(約6億円、23,440㎡)を取得、工場拡張や研究施設の建設を検討中。

*CO2を原料にした環境対応型ウレタン樹脂。ガスバリア性、金属密着性、硬化後の特性(耐久性)に優れており、バインダーや添加剤、バリア性コーティング剤としての用途を想定。


参考資料

会社概要

企業理念 「人に興味を持とう」「新しいことに興味を持とう」「未来に興味を持とう」
会社名 大日精化工業株式会社 (Dainichiseika Color & Chemicals Mfg. Co., Ltd.)
本社所在地 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号
創業 1931年10月16日
代表者 代表取締役社長 高橋弘二(たかはしこうじ)
資本金 100億39百万円(東京証券取引所プライム市場)
従業員数 連結3,594名(2025年3月31日現在)
連結売上高 1,247億60百万円(2025年3月期)
グループ会社 国内9社 海外17社

沿革

創業 1931年コア技術の確立 1940年代~海外生産拠点の強化 1960年代~新分野への展開と基盤事業整備 1980年代~海外生産拠点の強化 2000年代~

※2021年度以降は収益認識基準を適用し、売上高が約400億円減少しています。

当社事業セグメントと最終製品のイメージ

Color & Functional Products Polymer & Coating Materials Graphic & Printing Materials
主な製品 顔料・カラーベース 繊維用着色剤・捺染剤 プラスチック用着色剤・機能剤 ウレタン樹脂 コーティング剤 天然物高分子 グラビアインキ フレキソインキ オフセットインキ
主な利用用途 •塗料・印刷インキ •トナー・IJプリンタ用インキ •LCDカラーフィルタ •建材・日用品・紙製品 •車両・産業資材 •インテリアファブリック •アパレル製品 •紙 •合成皮革(家具、衣料) •車両内装材・建材・日用品 •電線・ケーブル・ベルト •化粧品 •LCDパネル •加飾用フィルム •パソコン・事務機器 •化粧品 •排水浄化・水処理 •食品・日用品包装材 •食品用トレー •飲料ボトルラベル •産業資材・建材 •ダンボール・包装材 •広告・書籍 •パッケージ

当社セグメントの販売先業界

B to B メーカーとして多様な業界に最適な製品を提供

  • Color & Functional Products
  • Polymer & Coating Materials
  • Graphic & Printing Materials

連結業績推移

(売上高・営業利益の通期および四半期推移グラフが続く)


本資料に含まれる将来の見通しに関する記述等は、現時点における情報に基づき判断したものであり、経済動向及び市場環境や当社の関連する業界動向、その他内部・外部要因等により変動することがあります。従いまして、実際の業績が本資料に記載されている将来の見通しに関する記述等と異なるリスクや不確実性等がありますことを、予めご了承ください。

本資料に掲載されている情報に関して、当社は細心の注意を払っておりますが、掲載した情報に誤りがあった場合や、第三者によりデータの改ざん、データダウンロード等によって生じた障害等に関し、事由の如何を問わずに一切責任を負うものではありません。

投資判断(AI生成)

投資評価: ★★☆☆

評価の理由は、第2四半期の実績は営業利益ベースでは堅調であったものの、売上高は微減、純利益は大幅減益と、全体として不安定な状況が見られるためです。特に、純利益の急減は、一時的な特別利益の剥落によるものですが、本業の成長性や収益構造の安定性には懸念が残ります。

評価の理由:

  1. 本業の成長鈍化とセグメントの偏り: 売上高は前年同期比で微減(-0.7%)と横ばいであり、成長性に乏しい状況です。営業利益の増加(+18.1%)は、主に「カラー&ファンクショナルプロダクト」セグメントの好調(利益率が大幅改善)と、原材料価格の下落(ナフサ価格が前年同期比で大幅減)によるコスト改善効果が寄与しています。しかし、この利益改善が持続可能かについては不透明です。
  2. 純利益の急減: 親会社株主に帰属する当期純利益が前年同期比で53.1%減と大幅に減少しています。これは、前年同期に計上された特別利益の剥落が主因ですが、本業の利益が成長しているにもかかわらず、純利益が大きく減少している点は、収益構造の不安定さを示唆します。
  3. セグメント間の不均衡: 「カラー&ファンクショナルプロダクト」は大幅増益ですが、「ポリマー&コーティングマテリアル」は減益(-18.5%)となっています。特にウレタン樹脂やコーティング剤の低迷は、自動車や情報・電子といった主要顧客セグメントの動向に左右されやすい構造を示しています。
  4. 通期予想の修正と特別利益: 通期予想の売上高・営業利益は据え置きですが、純利益予想は下方修正されています(前期比-32.9%)。これは、特別利益の剥落を織り込んだ結果であり、本業の成長だけでは利益水準を維持できていないことを示しています。
  5. 株主還元と株式分割: 積極的な株主還元(特別配当、自己株式取得)は評価できますが、株式分割は流動性向上を目的としており、本業の成長とは直接関係ありません。

投資判断の根拠:

財務数値上、本業の利益は改善傾向にありますが、売上高の成長が鈍く、セグメント間の業績格差が大きい点が懸念されます。特に、主要セグメントである「ポリマー&コーティングマテリアル」の低迷が続いており、これが今後の成長の足かせとなる可能性があります。現状は「保有」が妥当ですが、成長性への懸念から「買い」とは評価しにくい状況です。

重要なポイント:

  1. 売上高の停滞: 売上高が横ばいであり、本業の成長が鈍化している。
  2. 利益構造のコスト依存: 営業利益の改善は原材料価格の下落に大きく依存しており、持続的な収益力強化の兆しが見えにくい。
  3. セグメント間の業績格差: 「カラー&ファンクショナルプロダクト」の好調が他のセグメントの不振をカバーしている状況。
  4. 純利益の変動要因: 特別利益の有無による純利益の変動が大きく、本業の収益安定性に課題がある。

会社への質問(AI生成)

[「ポリマー&コーティングマテリアル」セグメントの減益(特にウレタン樹脂)について、採用車種の販売不振以外の構造的な要因(競合の台頭や製品の陳腐化など)はあるか、また下期以降の回復見込みの根拠を具体的に教えてください。]

[中間期実績では営業利益が予想を上回りましたが、売上高は予想を下回っています。これは主に価格改定によるものと推測されますが、下期以降もこの価格改定効果が持続する見込みか、また、価格転嫁が困難になるリスクについてどのように認識していますか。]

[中間期実績では、海外売上高比率が前年同期の27.0%から25.2%に低下しています。特に中国・米国現地法人の低調が要因とされていますが、これらの地域における具体的な事業戦略と、売上回復に向けた具体的な施策について詳細を教えてください。]

売上倍増のための施策(AI生成)

施策名 成功率(%) インパクト 評価コメント
環境対応型ウレタン樹脂(HPU)の市場投入加速と用途拡大 70% S CO2を原料とするHPUは競合優位性が高い。自動車・電子材料分野での採用を加速し、既存製品の代替を狙う。成功の鍵は、パイロットプラントでの量産化と、顧客の認証取得スピード。
液晶ディスプレイ向け顔料のシェア拡大と新規顧客開拓 65% A 現在好調な顔料事業をさらに拡大するため、新規パネルメーカーや、高精細化・小型化が進む分野(VR/ARなど)への製品投入を強化する。競合の動向を注視し、技術的優位性を維持する必要がある。
デジタル印刷向けインクジェット用顔料・分散液のグローバル展開 60% A デジタル印刷市場の拡大トレンドに乗る。特にアジアや欧米での需要増に対応するため、生産・供給体制を強化し、既存のグラフィック事業の売上を補完・拡大する。
既存顧客への高付加価値製品のクロスセル強化 55% B 既存の自動車・電子材料顧客に対し、カラー&ファンクショナルプロダクトの技術を、ポリマー&コーティングマテリアル製品に適用するなど、複合的なソリューション提案を強化する。

最優先戦略(AI生成)

最優先戦略:環境対応型ウレタン樹脂(HPU)の市場投入加速と用途拡大

大日精化工業の現状分析に基づくと、売上高の成長が鈍化し、利益構造が原材料価格の変動や特定セグメントの業績に依存している点が課題です。特に「ポリマー&コーティングマテリアル」セグメントの低迷が目立ちます。この状況を打破し、持続的な成長を実現するためには、既存事業の延長線上ではなく、明確な競争優位性を持つ新技術を基盤とした事業拡大が不可欠です。

最優先戦略として、CO2を原料とする環境対応型ウレタン樹脂(HPU)の市場投入加速と用途拡大を位置付けます。この技術は、環境負荷低減という現代の市場ニーズに合致しており、競合他社に対する明確な差別化要因となり得ます。

戦略の具体的内容:

  1. 量産化と品質安定化の加速: 中期計画で示されているHPU新製法パイロットプラントの稼働を最優先し、早期に量産体制を確立します。特に、顧客が求める耐久性やガスバリア性などの性能を安定的に供給できる体制を構築することが重要です。
  2. 主要顧客への集中アプローチ: 自動車内装材や電子材料分野など、既存の強みを持つセグメントの主要顧客に対し、HPUの採用を積極的に働きかけます。特に、環境規制が厳しい欧州市場や、高機能化が進む自動車分野での採用を目指します。
  3. 用途の多角化: バインダー、添加剤、バリア性コーティング剤としての用途に加え、HPUの特性を活かせる新たな用途(例:高機能フィルム、接着剤など)を探索し、売上基盤の多角化を図ります。

期待される効果:

HPUは、環境対応という付加価値により、価格競争に巻き込まれにくい高収益製品となる可能性があります。これにより、「ポリマー&コーティングマテリアル」セグメントの業績低迷を補い、全社的な売上成長と利益率の向上に貢献することが期待されます。中期経営計画の設備投資計画にも含まれており、実行可能性は高いと判断します。

ITコンサルからの提案(AI生成)

提案するITコンサルティング支援は、最優先戦略である「環境対応型ウレタン樹脂(HPU)の市場投入加速と用途拡大」の実行可能性を高めることに焦点を当てます。マーケティング活動ではなく、研究開発から量産、品質管理、サプライチェーンの最適化を支援します。

  • 研究開発・パイロットプラントのデータ統合と分析基盤構築支援:

    • 目的:HPUのパイロットプラントで得られる実験データ、プロセスパラメータ、品質データを一元管理し、AI/機械学習を活用したプロセス最適化を支援します。
    • 期待効果:開発サイクルの短縮、量産移行時の品質安定化の早期実現、最適な製造条件の迅速な特定。
    • 実現可能性:既存の製造実行システム(MES)や研究開発管理システム(LIMS)との連携を前提とし、データサイエンスチームと連携して実現します。
  • サプライチェーン・リスク管理システムの導入と最適化:

    • 目的:HPUの原料となるCO2の調達から、最終製品の納品までのサプライチェーンを可視化・最適化します。特に、新規原料の調達リスクや、タイ・インドネシアなど海外拠点の在庫・生産計画の連携を強化します。
    • 期待効果:原料調達の安定化、リードタイムの短縮、在庫最適化による運転資本の改善。
    • 実現可能性:既存のERPシステムと連携し、需要予測に基づいた在庫管理と生産計画の自動化を支援します。
  • 製造現場のデジタルツイン構築と予知保全システムの導入:

    • 目的:HPU製造プロセスにおける重要設備(反応器、精製設備など)のデジタルツインを構築し、センサーデータを活用した予知保全システムを導入します。
    • 期待効果:予期せぬダウンタイムの削減、生産効率の向上、HPUの安定供給体制の確立。
    • 実現可能性:IoTセンサーの導入と既存の制御システム(PLC/SCADA)とのデータ連携が必要です。