伊藤園 - 2026年4月期 上半期 決算説明会資料 ★★

基本情報

決算説明会資料

2025年12月 株式会社伊藤園

国内飲料市場の動向と当社業績・通期予測

飲料市場の推移(暦年・金額ベース)

カテゴリ 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年見通し 前年比増減率
合計 34,250 34,390 35,630 37,470 38,260 38,680 +1.1%
茶系飲料 計 9,524 9,420 8,050 8,050 8,090 8,490 +5.0%
緑茶飲料 6,434 7,200 7,350 7,470 7,540 7,690 +2.0%
その他茶系飲料 977 2,102 2,670 2,560 2,610 2,920 +11.9%
炭酸飲料 1,720 3,300 6,590 8,435 9,223 9,524 +3.2%
コーヒー飲料 5,192 5,793 5,100 4,580 4,590 4,640 +1.1%
野菜飲料 2,171 3,750 4,150 4,180 4,260 4,350 +2.1%
果実飲料 852 2,171 3,750 4,150 4,180 4,260 +1.9%
ミネラルウォーター 6,512 8,061 10,219 9,340 2,219 1,655 -25.4%
スポーツドリンク 1,456 1,468 1,400 1,570 1,520 1,410 -7.2%
その他 2,240 2,210 2,300 2,550 2,620 2,640 +0.8%

注釈:1980年 缶入りウーロン茶発売、1985年 缶入り煎茶発売。無糖茶飲料市場を創出。

無糖飲料比率の推移

無糖飲料の構成比は伸長を続ける。国内飲料市場のうち50%以上が無糖飲料。

カテゴリ 構成比(2024年) 増減率(対前年) 構成比(2025年見通し) 増減率(対前年)
その他 100% +0% - -
野菜飲料 3% -3% - -
スポーツドリンク 3% -3% - -
ミネラルウォーター 2% +2% - -
炭酸飲料 1% -1% - -
コーヒー飲料 5% +5% - -
茶系飲料 計 2% +1% - -
緑茶飲料 1% -1% - -
その他茶系飲料 2% +2% - -

月次販売数量動向(対前年増減率)

(グラフデータは省略。変動の傾向を示す。)

期間: 2024年5月~2025年4月

期間: 2025年5月~2025年10月

項目 2025年5月~10月(実績) 2024年5月~10月(実績) 増減額 増減率
飲料(ドリンク)他 売上高 12,327 (100%) 12,303 (100%) +24 +0.2%
茶葉(リーフ) - 8,894 (72%) - -
飲料(ドリンク)他 - - - +1%
その他 - - - +2%

飲料市場のトピックス(2025年5月~10月)

  • 5月: 物価高の影響で大型PETが不振。前年より稼働日が少なく、天候不順により止渇・行楽需要も低迷。
  • 6月: 後半の猛烈な暑さで止渇需要が拡大。近畿地方で西日本観測史上最も早い梅雨明けとなった。
  • 7月: 物価高と猛暑による外出抑制が重なり需要伸び悩み。
  • 8月: 物価高や猛暑に加え、前年の地震情報による備蓄反動、稼働日減少など複数のマイナス要因が重なった。
  • 9月: 猛暑も和らぎ、適度な止渇需要があった。一方、物価高の影響で大型PETや水・茶系カテゴリーは不振。
  • 10月: 低気温が寄与してホット飲料が好調に推移した一方、業界一斉値上げによるマイナス影響でほぼ相殺。
カテゴリ 2024年5月~10月(金額ベース) 2025年5月~10月(金額ベース) 増減率
合計 12,303 (100%) 12,327 (100%) +0.2%
茶系飲料 計 8,739 (71%) - +0.0%
緑茶 7,890 (64%) 8,016 (65%) +2.0%
むぎ茶 5,208 (42%) 5,173 (42%) -1.0%
日本茶 2,681 (22%) 2,843 (23%) +6.0%
中国茶 530 (4%) 536 (4%) +1.0%
その他茶系飲料 318 (3%) 341 (3%) +7.0%
野菜飲料 1,264 (10%) 1,171 (10%) -7.0%
コーヒー飲料 998 (8%) 1,057 (9%) +6.0%
ミネラルウォーター 427 (3%) 407 (3%) -5.0%
炭酸飲料 338 (3%) 246 (2%) -27.0%
果実飲料 293 (2%) 279 (2%) -5.0%

2026年4月期上半期実績(連結・単体)

上半期 累計(2025年5月~10月) (単位:百万円)

区分 項目 2025年4月期 実績 2026年4月期 実績 増減額 増減率
単独 売上高 181,687 185,067 3,379 1.9%
単独 売上総利益 61,768 (34.0%) 59,881 (32.4%) △ 1,886 (-3.1%) -1.6%
単独 販売費及び一般管理費 52,260 (28.8%) 50,958 (27.5%) △ 1,302 (-2.5%) -1.2%
単独 営業利益 9,507 (5.2%) 8,923 (4.8%) △ 583 (-0.4%) -6.1%
単独 経常利益 10,874 (6.0%) 11,059 (6.0%) 185 (0.0%) 1.7%
単独 当期純利益 7,583 (4.2%) 7,840 (4.2%) 257 (0.1%) 3.4%

グループ会社の業績・グループ全体の収益構成比

上半期 累計(2025年5月~10月) (単位:百万円)

区分 項目 2025年4月期 実績 2026年4月期 実績 増減額 増減率
連結 売上高 252,321 262,478 10,156 4.0%
連結 売上総利益 94,845 (37.6%) 95,044 (36.2%) 198 (-1.4%) 0.2%
連結 販売費及び一般管理費 80,456 (31.9%) 81,110 (30.9%) 653 (-1.0%) 0.8%
連結 営業利益 14,389 (5.7%) 13,934 (5.3%) △ 454 (-0.4%) -3.2%
連結 経常利益 14,617 (5.8%) 14,947 (5.7%) 330 (-0.1%) 2.3%
連結 当期純利益 9,191 (3.6%) 9,542 (3.6%) 350 (0.0%) 3.8%
区分 売上高(増減率) 営業利益(増減率)
国内グループ 0.3% -21.0%
海外グループ 19.2% 21.5%

2026年4月期上半期実績(グループ会社)

上半期 累計(2025年5月~10月) (単位:百万円)

項目 売上高(2026年4月期 実績 / 増減率) 営業利益(2025年4月期 実績 / 2026年4月期 実績 / 増減率)
伊藤園(単独) 185,067 / 1.9% 9,507 / 8,923 / -6.1%
チチヤス 23,372 / 8.1% 2,064 / 1,975 / -4.3%
タリーズコーヒー 6,236 / -6.9% 681 / 496 / -27.1%
国内グループ 62,372 / 0.3% 3,348 / 2,645 / -21.0%
米国事業 10,692 / 4.9% 1,289 / 1,193 / -7.4%
海外グループ 34,975 / 19.2% 1,806 / 2,194 / 21.5%
連結 262,478 / 4.0% 14,389 / 13,934 / -3.2%

2026年4月期上半期実績(連結)営業利益増減の主な要因

  • 売上増加による影響 +11
  • 容器構成及び製品構成等の変化 +12
  • 原料・資材等の高騰による影響 -42
  • 広告宣伝費の削減など +14

国内サプライチェーン全体での構造改革

  • ファブレス方式を活用したブロック生産・物流
    • 畑から原料まで独自のノウハウ
    • 研究開発・茶産地育成事業
  • 地域に根差した営業活動
  • 外部環境の変化に対応し、効率性・収益性の高い、持続可能なサプライチェーン構築が必要
    • 企画・開発、調達・加工、製造、物流、営業・販売

サプライチェーン全体の最適化による国内事業の盤石化、伊藤園グループのさらなる成長へ。

  • 進出国・地域の拡大:北米、アジア、欧州
  • 商品展開:「お~いお茶」ブランドに経営資源を集中
    • 無糖の「お~いお茶」をグローバルスタンダードな飲み物へ

事業戦略・マーケティング戦略

緑茶飲料の国内販売金額シェア(見通し)

(グラフデータは省略。伊藤園のシェア推移を示す。)

「お~いお茶 PURE」シリーズで新しいお客様を創造

海外のトレンドから着想を得た新ジャンルの日本茶

  • 世界に挑戦する「お~いお茶」
    • 9/22 日米同時発売「お~いお茶 LEMON GREEN」
    • 海外の嗜好に合わせて開発した「お~いお茶 PURE」シリーズを米国で発売
    • 若者や女性のお客様を中心に販売好調
    • 累計販売本数 5,000万本 突破(2025年3-8月出荷ベース)
    • 合言葉は、「お茶の常識、すてましょう。」

「お~いお茶」の販売拡大に繋げる政策

  • 大谷翔平選手と継続的にコミュニケーションを展開
    • 5/19 新作TV-CM「いつの日も、僕のそばにはお茶がある。」篇、MLB™オールスターゲームツアーチケットが当たるキャンペーン
    • 6/23 「お~いお茶 COLD BREW LEMON GREEN」発売
    • 6/26 グローバル社会貢献プロジェクト「Green Tea for Good 2025」始動
    • 6/30 大谷翔平ボトル発売(数量限定)
    • 9/22 「お~いお茶 LEMON GREEN」日米同時発売・新作TV CM
    • 9/29 「お~いお茶ほうじ茶・玄米茶」発売・新作TV CM
    • 10/6 「お~いお茶カテキン緑茶」シリーズ発売・新作TV CM
  • 「お~いお茶ほうじ茶・玄米茶」発売
    • “香り”を求める時代のニーズに対応、さらに香りや香ばしさを向上
    • ほうじ茶飲料市場シェア No.1(※1)、玄米茶飲料市場シェア No.1(※2)
  • 「お~いお茶カテキン緑茶」シリーズ発売
    • 食事と合わせることで“結果にこだわる”トクホ
    • 「茶カテキン」の働きにより体脂肪がつきにくい、血中コレステロールを減らす
    • 対前年3倍以上※伸長

リーフ市場における簡便性製品シェアと当社シェア

  • 10/1「日本茶の日」、お茶をはじめる機会を創出
    • 手軽にお茶が楽しめる提案を約370店舗で展開
  • どなたも手軽に飲めるインスタント(粉末)ティー
    • 「ぷしゅぷしゅボトル」で、お茶がもっと楽しくなる
    • 対前年+10%※伸長(緑茶簡便性製品)

「抹茶」体験を通して、日本文化に触れる訪日外国人

  • 抹茶は「スーパーフード」として注目され、「抹茶ラテ」や「抹茶スイーツ」が人気なだけでなく、茶道体験を通して日本文化に触れる機会を創出することで「コト消費」にも対応
  • 年度別輸出額:緑茶輸出額が過去最高(1~8月で昨年超え、380億円突破)
    • 11月にオープンした「THE MATCHA TOKYO HARAJUKU」:お客様の前で抹茶を点てるスタッフがいる茶室。最上階で茶道体験を提供。
  • 「抹茶」の安定供給体制を構築
    • 生産ラインを2倍に拡充し、効率的な生産体制を構築(対前年+39%)
  • 抹茶市場の拡大に対応した製品ラインアップ(高価格帯からお求めやすい価格帯まで品揃え)

世界のティーカンパニーに向けて販売拡大

  • 史上初!※ 『健康ミネラルむぎ茶 MLB™30球団スペシャルエディションボトル』
    • MLB各球団のユニフォーム着用した笑福亭鶴瓶さんのコラボイラスト30種が登場!
    • 幅広い層のお客様から支持されるNo.1麦茶飲料
    • 2025年7月度・販売数量が過去最高、売上本数1億本突破
  • 黒豆茶は大豆イソフラボンの健康価値で継続伸長
  • 気分を上げるジャスミン茶の「はなやぐ香り」が人気(対前年+12%※ドリンク製品)
  • ティーバッグ、粉末製品も好調(ティーバッグ対前年+10%※ドリンク製品)

コーヒー飲料市場の状況

  • タリーズブランド上半期累計販売数量過去最高(対前年+4%)
  • 飲料売場からチルド売場までお客様との接点が拡大
    • 「MY HOMEキリマンジャロ/BLACK/甘さひかえめ」対前年+32%※
  • コーヒー好きが支持する無糖コーヒー
  • 「TULLY’S COFFEE PLATINUM(プラチナ)」シリーズ誕生!
    • まるでバリスタが一杯一杯心を込めて作ったような、コーヒー好きのためのペットボトル入りコーヒー飲料
  • 「COFFEE LOVER'S(コーヒーを愛する人々)」をテーマにブランドの価値を強化
    • ショップとのシナジーを生かしたCMを放映

好調な店舗経営

  • 高品質な原料調達への継続的な取組み(産地訪問、支援企画など生産者との継続的な対話から実現)
    • グァテマラ「カッピングコンテスト」、コスタリカ「マイクロロットプロジェクト」
  • 高品質な原料と強い商品開発が牽引

その他

  • 注目の健康素材・「アサイー」が人気
    • 「アサイーボウルSmoothie」:アサイーボウルのようなとろっと満足感のあるスイーツ飲料
  • ニッポンエールプロジェクト:JA全農と伊藤園を含むメーカーや販売先が協力して産地を応援する活動

伊藤園中央研究所

中央研究所は1986年に開設。カテキンやテアニンの働きによる「緑茶・抹茶の保健的価値」や茶の香味や茶を介したコミュニケーションなどによる心身および社会的健康に資する「情緒的価値」・「コミュニケーション的価値」を科学的に証明する研究を推進。

  • 「TAKANAWA GATEWAY CITY」にて、ビジネス創造施設「LiSH」へ参画
  • 緑茶の飲用による気分変化や香味の印象に関する調査を実施(2025年7月14日~17日、「LiSH」にて調査実施)
    • ニュウマン高輪「茶々水SASUI 伊藤園」で、自分好みの「お茶のカスタマイズサービス」アプリに活用。

中期経営計画2年目、国内盤石化、グローバル化の更なる加速

  • 第1ステージ:圧倒的No.1ティーカンパニーとして国内既存事業の盤石化(環境変化に応じた構造改革)
  • 第2ステージ:「お~いお茶」のグローバル化加速(60以上・地域)
  • 第3ステージ:茶事業(グローバル)盤石な収益基盤(100以上・地域)

参考資料

サステナビリティに関する中長期目標

テーマ 指標 2025年4月期実績 2031年4月期中長期目標
気候変動 GHG排出量削減率(基準年:2019年4月期)※1 Scope1+2 ▲21.3%、Scope3 ▲21.7% Scope1+2 ▲50%、Scope3 ▲30%(【2051年4月期】ネットゼロ)
気候変動 再生可能エネルギーの使用※1 使用比率 16.7% 使用比率 75%
気候変動 電動車の導入(EV、HV、PHV、FCV)※1 電動車比率 9.7% 電動車比率 25%
水資源 飲料製造時の水使用量削減 4.2㎥/kl 水使用量原単位※2 3.0㎥/kl以下※3
水資源 飲料製造工場の水源涵養活動の実施 - 100%以上※4
持続可能な容器包装 ペットボトルのリサイクル素材等使用率 45% 100%(全ペットボトル製品)

人財戦略の再構築

長期の将来像、中期経営計画(2025/4期~2029/4期)と連動し、人財戦略の再構築を進める。

<育成を強化する人材>

  • 「健康創造企業」の実現を構想できる「戦略人財」
  • 新たな市場、価値創造を実現する「マーケティング人材」
  • 構造改革と新たな仕組みづくりを行う「DX人材」
  • 多様な価値観を受容し創造する「グローバル人材」
  • 顧客の課題解決を実現する「営業・販売人材」

重点戦略
* 「お~いお茶」のグローバル化
* 国内既存事業の盤石化
* 新たな事業の創出
* 経営基盤の強化
* サステナビリティ経営の推進

飲料カテゴリー別販売実績(単位:万ケース)

上半期(2025年5月~10月)(数量ベース)

カテゴリ 第1四半期 (5月~7月) 実績 (構成比 / 増減率) 第2四半期 (8月~10月) 実績 (構成比 / 増減率) 上半期 (5月~10月) 実績 (構成比 / 増減率)
飲料(ドリンク) 6,132 (100.0% / +1%) 6,170 (100.0% / -1%) 12,303 (-0% / +1%)
茶系飲料 計 4,450 (72.6% / +3%) 4,444 (72.0% / +1%) -
日本茶・むぎ茶・緑茶 4,015 (65.5% / +2%) 4,001 (64.8% / +1%) -
コーヒー飲料 514 (8.4% / +9%) 542 (8.8% / +3%) -
ミネラルウォーター 197 (3.2% / +2%) 210 (3.4% / -10%) -
炭酸飲料 117 (1.9% / -29%) 128 (2.1% / -26%) -

飲料容器別販売実績(上半期 5月~10月)(数量ベース)

容器 構成比対前年 増減率
スーパー +2 pt +1%
CVS △0 pt -1%
自動販売機 △1 pt -14%
EC等 +1 pt +6%

飲料販売数量(上半期 5月~10月)

容器 実績 増減率 構成比対前年 増減率
飲料販売数量 12,303 -0% - -
1,262 +2% +0 pt +2%
大型PET 3,915 +2% +0 pt +2%
小型PET 5,759 -1% △0 pt -1%
紙パック 1,298 -4% △0 pt -4%

連結キャッシュ・フローの推移

(グラフデータは省略。営業CF、投資CF、フリーCF、ROEの推移を示す。)

年度 設備投資額 減価償却費 リース償却費 リース債務(返済)
'22/4 7,511 7,246 4,035 △ 2,732
'23/4 7,259 7,582 2,771 △ 2,278
'24/4 10,256 7,017 1,577 △ 1,989
'25/4 12,512 7,268 1,477 △ 1,594
'26/4予測 14,048 8,488 1,339 △ 1,385

連結貸借対照表(2024年10月末 vs 2025年10月末) (単位:百万円)

項目 2024年10月末 2025年10月末 増減額
流動資産合計 243,901 246,632 2,731
現金及び預金 101,672 87,201 △ 14,471
売上債権・棚卸資産 127,485 143,991 16,505
有形固定資産合計 75,629 78,846 3,217
負債合計 170,429 177,271 6,841
純資産合計 184,878 184,873 △ 4

自己資本比率: 25/10 50.6%

投資判断(AI生成)

投資評価: ★★☆☆

評価の理由:

連結ベースでは売上高が4.0%増、営業利益が3.2%減と微増収微減益となりました。特に国内事業の営業利益が21.0%減と大幅に悪化している点が懸念されます。これは、売上総利益率が37.6%から36.2%へ低下し、原価高騰の影響を吸収できていないことを示唆しています。一方で、海外事業は売上高19.2%増、営業利益21.5%増と好調で、連結業績を下支えしています。

市場環境としては、国内飲料市場全体は微増傾向(2025年見通し+1.1%)ですが、無糖飲料へのシフトが鮮明です。伊藤園は茶系飲料でシェアを維持しつつも、炭酸飲料やミネラルウォーターの市場シェアは減少傾向にあります。特に、物価高による大型PETの不振や、天候不順、備蓄反動など、外部環境の変動に対する脆弱性が露呈しています。

経営陣は「お~いお茶」のグローバル化と国内事業の構造改革を強調していますが、国内事業の収益性悪化が目立ちます。ROEやROAに関するデータが不足しているため正確な評価は困難ですが、営業利益率が5.3%と低水準であり、資本効率の改善が急務です。海外事業の成長は評価できますが、国内事業の構造改革が遅れている印象を受けます。

投資判断の根拠:

保有(中立)。海外事業の成長と「お~いお茶」ブランドのグローバル展開への期待はあるものの、国内事業の収益性悪化と市場環境の厳しさが相殺しています。特に、原価高騰に対する価格転嫁やコスト削減の実行力が問われています。財務の安定性は維持されていますが、成長の牽引役である国内事業の構造改革が不透明なため、積極的な買い材料には欠けます。

重要なポイント:

  1. 国内事業の収益性悪化: 国内グループの営業利益が21.0%減と大幅に減少しており、売上総利益率の低下が顕著。
  2. 海外事業の成長: 海外グループが売上・利益ともに高い成長率を示しており、連結業績の主要な牽引役となっている。
  3. 市場環境の厳しさ: 物価高や天候不順など外部要因による販売の変動が大きく、特に大型PETの不振が目立つ。
  4. サプライチェーン改革の必要性: 経営陣が構造改革を強調しているが、上半期の利益率低下は改革の遅れを示唆している可能性がある。

会社への質問(AI生成)

国内事業の営業利益が21.0%減と大幅に悪化していますが、売上総利益率の低下(37.6%→36.2%)の主因は原料・資材高騰によるものと説明されています。この利益率低下を吸収するための具体的な価格改定の進捗と、コスト削減策の実行状況について、セグメント別に詳細を教えてください。

海外事業の売上高が19.2%増、営業利益が21.5%増と好調ですが、これは主に「お~いお茶 PURE」シリーズの米国での成功によるものと推察されます。この成長が持続可能であるか、また、米国以外の地域での展開状況と、今後の海外事業の利益率目標についてお聞かせください。

連結の設備投資額が過去最高水準(2026年4月期予測14,048百万円)に達しており、特に国内サプライチェーンの構造改革に関連する投資が増加していると見られます。この投資がいつ頃、どの程度の利益率改善に寄与するのか、具体的なロードマップとKPIを提示してください。

売上倍増のための施策(AI生成)

施策名 成功率(%) インパクト 評価コメント
「お~いお茶」グローバル展開の加速と地域特化 70% S 現在の強みである「お~いお茶」ブランドを、既存の米国に加え、アジア・欧州市場で地域特有のフレーバーやパッケージで展開。特に、現地で人気のフレーバー(例:アジアでのジャスミン茶の多様化)を強化し、販売チャネルを拡大する。
国内茶葉(リーフ)事業のデジタル化と高付加価値化 60% A 簡便性製品(粉末、ティーバッグ)の伸長を捉え、サブスクリプションモデルやECチャネルを強化。研究開発で得た健康価値を前面に出した高価格帯のリーフ製品を投入し、既存の茶葉市場の単価向上を図る。
海外事業のM&Aによる市場シェア拡大 50% A 成長が見込まれる海外市場(特にアジア)において、既存の飲料メーカーや流通網を持つ企業を買収し、販売チャネルとブランドポートフォリオを迅速に拡大する。
国内サプライチェーン改革によるコスト構造の抜本的改善 80% B ファブレス化やブロック生産の推進により、固定費を削減し、変動費率を改善。これにより、価格競争力のある製品ラインナップを増やし、国内市場でのシェア維持・拡大の基盤を構築する。

最優先戦略(AI生成)

最優先戦略: 「お~いお茶」グローバル展開の加速と地域特化

現在の伊藤園の業績において、国内事業の収益性悪化が連結利益を圧迫しており、海外事業の成長が唯一の明るい材料となっています。売上を倍増させるためには、国内市場の成熟と競争激化を背景に、海外市場での飛躍的な成長が不可欠です。

最優先戦略として「お~いお茶」グローバル展開の加速と地域特化を位置づけます。これは、中期経営計画の第2ステージ「『お~いお茶』のグローバル化加速」と完全に一致しており、企業の経営資源を集中すべき領域です。

実行の根拠と詳細:

  1. ブランドのグローバル・スタンダード化: 「お~いお茶」を無糖茶のグローバルスタンダードとして確立するため、米国での成功事例(「PURE」シリーズ)を他地域へ横展開します。特に、現地消費者の嗜好に合わせたフレーバー開発(例:レモン、フルーツ系)を強化し、単なる日本茶の輸出ではなく、現地の飲料カテゴリーとして定着させる必要があります。
  2. チャネルの多様化: 現在、海外展開は米国が先行していますが、アジアや欧州での展開を加速させるため、現地パートナーとの連携を強化し、スーパーマーケットだけでなく、コンビニエンスストアやECチャネルでの露出を増やします。
  3. 生産・供給体制の強化: 抹茶事業の輸出額が過去最高を記録していることから、抹茶の安定供給体制(生産ライン2倍化)をさらに強化し、グローバルな需要増に対応します。

この戦略は、国内事業の構造改革が進行するまでの間、連結業績を牽引する役割を担います。成功率70%、インパクトSと評価しましたが、これは既存のブランド力と米国での実績があるためです。ただし、地域特化のスピードと、現地でのマーケティングリソースの最適配分が成功の鍵となります。

ITコンサルからの提案(AI生成)

グローバル展開加速のためのIT基盤強化

  1. グローバル需要予測・在庫最適化システムの導入:

    • 目的:海外市場での需要変動に対応し、生産・物流のリードタイムを短縮し、在庫コストを削減する。
    • 期待効果:地域特化製品の需要予測精度向上により、過剰在庫や欠品による販売機会損失を防ぎ、サプライチェーン全体の効率化を実現する。
    • 実現可能性:既存のERPやSCMシステムとの連携を前提に、AI/MLを活用した需要予測モジュールを導入する。
  2. 海外拠点間データ連携基盤の構築(データレイク/データウェアハウス):

    • 目的:米国、アジア、欧州の各拠点の販売実績、在庫、生産データをリアルタイムで統合し、経営層が迅速な意思決定を行えるようにする。
    • 期待効果:地域ごとの成功要因や課題を横断的に分析し、グローバル戦略の最適化を支援する。
    • 実現可能性:クラウドベースのデータプラットフォームを構築し、各拠点の基幹システムからデータを収集・標準化する。
  3. グローバルサプライチェーンの可視化とトレーサビリティ強化:

    • 目的:原料調達から最終製品までのトレーサビリティを強化し、品質管理とコンプライアンスを向上させる。
    • 期待効果:特に抹茶や茶葉の供給網において、生産者との連携を強化し、ブランド価値の源泉である品質を保証する。
    • 実現可能性:ブロックチェーン技術などを活用し、サプライチェーン上の主要なマイルストーンを記録・共有するシステムを構築する。

国内事業の構造改革支援

  1. 国内サプライチェーンのデジタルツイン構築とシミュレーション:
    • 目的:ファブレス化やブロック生産への移行に伴う、物流・生産プロセスの最適化をシミュレーションする。
    • 期待効果:物理的な移行前に、最適な生産拠点配置や物流ルートを特定し、構造改革に伴うリスクを最小化し、コスト削減効果を最大化する。
    • 実現可能性:既存の生産・物流データを基にデジタルツインモデルを構築し、様々なシナリオでのシミュレーション環境を提供する。