産業ロボット知能化のMujinが364億円調達、鋼鉄より硬い木材も登場🤖（2025年12月4日ニュース）

今週は、産業の根幹を揺るがす革新的な技術やビジネスモデルが目白押しです。特に、364億円を調達したロボット知能化のMujinや、鋼鉄を超える強度を持つ新素材「スーパーウッド」など、物理世界を変えるイノベーションが際立っています。建設、製造、宇宙、ECなど幅広い分野で、未来のスタンダードとなる動きが加速しています。社会課題解決型のユニークなスタートアップも登場し、新しい価値創造の形が見えてきました。今週のニュースから、次世代の産業をリードするヒントを探ります。🚀

364億円調達ロボットAIベンチャー Mujin。NTTらも注目の「フィジカルAI」ビジネスで不可避の課題

産業用ロボットの知能化を手掛けるスタートアップMujinが、シリーズDラウンドで364億円という大型の資金調達を実施しました。今回の調達は、返済義務のないエクイティが209億円、デットが155億円という構成です。リード投資家としてNTTとカタール投資庁（QIA）が参画し、Mujinが手掛ける「フィジカルAI」への期待の高さがうかがえます。Mujinは、異なるメーカーのロボットを統合制御する「Mujin OS」を強みとしており、すでに世界で2000件以上の導入実績を誇ります。今回の資金調達とNTTとの提携により、Mujin OSのプロダクト化とグローバル展開を加速させ、物流や製造現場の完全自動化を目指します。🏭🤖

364億円調達ロボットAIベンチャー Mujin。NTTらも注目の「フィジカルAI」ビジネスで不可避の課題

鋼鉄よりも硬い木材、開発されました

建築界に革命を起こすかもしれない新素材「スーパーウッド（Superwood）」が実用化に向けて動き出しました。この技術は、メリーランド大学の研究から生まれたスタートアップ企業InventWoodによって商業化が進められています。スーパーウッドは、通常の木材を化学処理と圧縮加工することで、鋼鉄よりも50%高い引張強度と、強度対重量比で10倍の性能を実現します。さらに、高い防火性能や耐腐食性も兼ね備え、建物の構造材としての利用も期待されています。🌲💪同社は2025年夏から生産を開始し、まずは建築物の外装材として展開、将来的には建物の骨格となる構造材への応用を目指します。

鋼鉄よりも硬い木材、開発されました

Polyuse、シリーズBとして約27億円調達——建設用3Dプリンタの研究開発・社会実装を加速

建設業界のDXを推進するスタートアップPolyuseが、シリーズBラウンドで約27億円の資金調達を実施しました。同社は、建設用3Dプリンタに関連する機械、ソフトウェア、材料をすべて内製化し、研究開発からサービス提供まで一貫して手掛ける国内唯一のメーカーです。すでに国土交通省管轄工事を含む200件以上の現場で活用実績があり、国産の建設用3Dプリンタ「Polyuse One」の全国販売も開始しています。調達した資金は、研究開発基盤の拡充と事業体制の強化に充てられ、建設業界の生産性向上と人手不足解消への貢献が期待されます。🏗️💰

Polyuse、シリーズBとして約27億円調達——建設用3Dプリンタの研究開発・社会実装を加速

中国で自動運転タクシーに乗ったら偏見が打ち砕かれ、人生を問い直す羽目になった話

中国・深センで、Pony.aiが運行する完全無人の自動運転タクシーがすでに営業運転を開始しており、未来の交通の姿を予感させています。実際に乗車したレポートによると、その動きは驚くほど滑らかで、発進・停止のタイミングやカーブの曲がり方は「人間の運転より上手」と感じられるほどだそうです。深センの複雑な交通環境でも迷いなく走行し、法定速度を守りつつも交通の流れに合わせる柔軟性も持ち合わせています。LiDARセンサーや計算ユニットで構成される自動運転キットは、世代を重ねるごとにコストが約7割削減されており、大量導入に向けた準備も着々と進んでいます。🚕🤖

中国で自動運転タクシーに乗ったら偏見が打ち砕かれ、人生を問い直す羽目になった話

NTTドコモビジネスとダッソー、3D CADの遠隔共同作業を実証、APN接続で同期速度を5倍に

NTTドコモビジネスとフランスのダッソー・システムズは、次世代ネットワーク基盤「IOWN APN」を活用した3D CADの遠隔共同作業の実証実験に成功したと発表しました。この実験では、東京の2拠点をIOWN APNで接続し、大容量の3D CADデータを共同編集。その結果、同じビル内でLAN接続した場合とほぼ同等の性能でスムーズな作業が可能であることを確認しました。データ同期時間は従来のインターネット経由と比較して最大500%向上し、ほぼ遅延なく作業できることが示されました。これにより、製造業における設計プロセスの大幅な効率化や、グローバルな共同開発の加速が期待されます。🌐✨

NTTドコモビジネスとダッソー、3D CADの遠隔共同作業を実証、APN接続で同期速度を5倍に

ispace、JALグループ4社 月面輸送・運航分野で協業

宇宙スタートアップのispaceとJALグループ4社（日本航空、JALエンジニアリング、JALUX）は、月面での持続的な活動を支える輸送システム構築に向けた協業を開始しました。この協業では、JALグループが航空分野で培った整備技術や運航管理の知見をispaceの月着陸船（ランダー）開発に活用します。将来の月面輸送機の高頻度な離着陸を支える基盤づくりを共創し、地球と月を結ぶ新たな経済圏「シスルナ経済圏」の構築を目指します。ispaceの月面輸送サービスにおけるペイロード（荷物）搭載枠の販売連携も視野に入れており、宇宙ビジネスが新たなステージに進むことを示唆しています。🌕✈️

ispace、JALグループ4社 月面輸送・運航分野で協業

マーベル、AIデータセンター向けに32.5億ドルでセレスティアルAIを買収

半導体大手のマーベル・テクノロジーは、シリコンバレーのスタートアップセレスティアルAIを32.5億ドル（約5100億円）で買収すると発表しました。セレスティアルAIは、電気信号の代わりに光を使ってAIチップとメモリ間でデータをやり取りする「フォトニック・ファブリック」技術を開発しています。この光インターコネクト技術は、AIデータセンターにおけるデータ転送のボトルネックを解消し、エネルギー効率を大幅に向上させる次世代技術として注目されています。マーベルはこの買収により、AIハードウェアの競争が激化する中で、ネットワーキング分野でのリーダーシップを強化する狙いです。💡🔌

Marvell acquires Celestial AI for $3.25B as photonics becomes the next big frontier in AI chip design

ニオビウム、完全準同型暗号ハードウェア推進のため2300万ドルを資金調達

セキュアコンピューティングを手掛ける米国のハードウェアスタートアップNiobiumが、2300万ドル（約36億円）以上の資金調達を実施しました。同社は、データを暗号化したまま計算できる「完全準同型暗号（FHE）」専用の半導体チップを開発しています。FHEは、プライバシー保護とデータ活用の両立を可能にする究極のセキュリティ技術として期待されていますが、計算コストが非常に高いことが課題でした。Niobiumは、この課題をハードウェアアクセラレータで解決し、実用化を目指しています。今回の資金調達により、プロトタイプのASIC化を加速させ、量子耐性を持つデータ処理の基盤構築を進めます。🔐✨

Niobium Raises $23M in Funding to Advance Fully Homomorphic Encryption Hardware

アマゾン、低価格EC「Bazaar」を世界展開 中国系Temu・SHEINに対抗

米アマゾンが、超低価格帯のEコマースサービス「Amazon Bazaar（アマゾン・バザール）」をグローバルに拡大しています。このサービスは、主に10ドル未満の商品を扱い、香港、フィリピン、ナイジェリアなど新たに14市場で独立したショッピングアプリとして提供を開始しました。これにより、アマゾンの低価格ECサービスは合計25市場に展開されることになります。この動きは、近年急速にシェアを拡大している中国発のECプラットフォーム「Temu」や「SHEIN」に対抗するもので、既存顧客のつなぎ止めと新興国市場の開拓という攻守両面の戦略がうかがえます。🛒💸

アマゾン、低価格EC「Bazaar」を世界展開 中国系Temu・SHEINに対抗

食特化の事業承継プラットフォームのまん福ホールディングス、19億円をシリーズC調達

食に特化した事業承継プラットフォームを展開するスタートアップ、まん福ホールディングスがシリーズCラウンドで19億円の資金調達を実施しました。同社は、後継者不足に悩む食関連の中小企業を対象に事業を承継し、「第二の創業」として成長を支援するユニークなビジネスモデルを構築しています。創業から約4年半で14社の事業承継を行い、グループの連結売上は年間約110億円規模にまで成長しました。調達した資金は、既存事業の成長投資や新たな事業承継、そして地域に根差した食文化の継承と発展を目指す「エリア共和国」モデルの拡大に充てられます。🤝📈

食特化の事業承継プラットフォームのまん福ホールディングス、19億円をシリーズC調達

考察

今週のニュースからは、ソフトウェアだけでなく「物理世界」を直接変革する「フィジカル・イノベーション」の大きな潮流が読み取れます。Mujinのロボット知能化やPolyuseの建設3Dプリンタ、InventWoodの新素材「スーパーウッド」は、いずれも製造や建設といった伝統的な巨大産業の生産性を根底から覆す可能性を秘めています。これらのスタートアップに巨額の資金が集まっている事実は、投資家がデジタル空間の次なる戦場として、現実世界の自動化・高度化に注目している証拠です。🛠️🏗️

また、NTTのIOWN APNを活用した遠隔共同作業や、Marvellによるフォトニクス技術への投資など、次世代のインフラを支える基盤技術への動きも活発です。これは、単体のサービスやプロダクトの進化だけでなく、それらを支える「土台」そのものが刷新されるフェーズに入ったことを示唆しています。宇宙ビジネス（ispace）や自動運転タクシー（Pony.ai）、そして食の事業承継（まん福ホールディングス）のような社会課題解決型の新しいビジネスモデルも次々と登場しており、既存の産業構造がテクノロジーによって再定義され始めています。これらの動きは、今後ますます加速し、私たちの生活や働き方に大きな変化をもたらすでしょう。🚀💡