AIが守り、AIが攻める🛡️ 2026年サイバーセキュリティ最前線(2026年1月16日ニュース)

今日のサイバーセキュリティニュースは、AIが攻防両面で主役となっている現状を浮き彫りにしています。Dropzone AIのように、セキュリティ運用(SOC)をAIアナリストが担う革新的なサービスが登場する一方で、攻撃者もまた生成AIを悪用して巧妙な攻撃を仕掛けています。こうした状況を受け、セキュリティ戦略の焦点は「完璧な防御」から「侵害後の迅速な回復力(レジリエンス)」へと大きくシフトしています。また、未来の脅威である量子コンピュータへの備えや、インターネットの根幹を支えるOpenSSLのような基盤技術の脆弱性にも注目が集まっています。今日のニュースから、AI時代におけるセキュリティの新たな常識を読み解いていきましょう。

Dropzone AI、2025年にARR11倍成長、Fortune Cyber 60に選出、3700万ドルのシリーズBを調達

AI SOCアナリストのリーディングプロバイダーであるDropzone AIは、2025年に年間経常収益(ARR)が11倍に成長し、Fortune Cyber 60に選出されるなど、目覚ましい成果を報告しました。同社は、AIを活用したセキュリティ運用の導入が加速していることを背景に、Theory Venturesが主導する3700万ドルのシリーズB資金調達を完了。現在、300社以上の企業がDropzone AIのAI SOCアナリストを本番環境で利用しており、これにより1000万ドル以上のSOC生産性が回復したと推定されています。今後は、脅威ハンティングやフォレンジックなどを専門とする複数のAIエージェントが協働する「Agentic SOC」というビジョンを掲げ、さらなる事業拡大を目指しています。 Dropzone AI Closes 2025 with 11x ARR Growth, Fortune Cyber 60 Recognition, and $37M Series B

多重脅迫、AI悪用、クラウドの設定ミス--サイバー攻撃の手口や被害につながる傾向

サイバーセキュリティ企業パロアルトネットワークスの専門組織「Unit 42」は、最新のサイバー攻撃の動向を解説しました。現在、サイバー攻撃の86%でビジネスに何らかの影響が発生しており、特にランサムウェア攻撃は深刻です。攻撃の93%でデータを暗号化するだけでなく、盗んだデータを暴露すると脅すなど、複数の手口を組み合わせた「多重脅迫」が行われています。攻撃者は生成AIを悪用して巧妙な偽メールを大量作成するなど、手口の高度化も進んでいます。初期侵入の26.2%はフィッシングなどのソーシャルエンジニアリングであり、侵入からデータ窃取まで1時間以内というケースも20%に上ります。また、クラウド環境の普及に伴い、クラウド関連のインシデントは188%も増加しており、設定ミスなどが主な原因となっています。 多重脅迫、AI悪用、クラウドの設定ミス--サイバー攻撃の手口や被害につながる傾向

AIは構築したが、それを破壊しようとしたか?

生成AIモデルを本番環境に展開する前に、その脆弱性を徹底的にテストする「AIレッドチーミング」の重要性が高まっています。このプロセスは、AIが有害なコンテンツを出力したり、機密情報を漏洩したりするような、意図しない動作を引き起こすことを目的とした、管理された敵対的テストです。テストすべき主要な脆弱性には、プロンプトインジェクション、有害コンテンツの生成、モデルの偏見(バイアス)、誤情報(ハルシネーション)、サービス不安定化などが含まれます。自動化されたプラットフォームは既知の脆弱性を大規模にテストするのに有効ですが、未知の脆弱性を発見するためには人間の創造性も不可欠です。効果的なAIレッドチーミングは、開発から運用まで、MLOpsライフサイクル全体に組み込まれるべき継続的なプロセスです。 You have Built an AI. Have You Tried to Break It?

AppGuardはAIで誇張された防御を批判し、次世代プラットフォームのインサイダーリリースを拡大

AppGuardは、AIによって強化されたマルウェアの脅威が増大していると警告しています。AIはマルウェアを検知困難にするだけでなく、環境に適応し、防御側が追いつけない速度で横展開(ラテラルムーブメント)することを可能にします。同社は、無限の可能性の中から「善」と「悪」を見分ける検知ベースのセキュリティには限界があると指摘。その代わりに、エンドポイント内で信頼されていないプロセスの実行を根本的にブロックする「デフォルト拒否」またはゼロトラストのアプローチが重要だと主張しています。このアプローチは、攻撃対象領域を縮小し、AIによって加速されたマルウェアでさえも活動を阻止します。AppGuardは、経験豊富なセキュリティ専門家を対象とした次世代プラットフォームのインサイダーリリースプログラムを拡大し、フィードバックを求めています。 AppGuard Critiques AI Hyped Defenses; Expands its Insider Release for its Next-Generation Platform

AI時代のセキュリティは「レジリエンス」へ--CISO調査が示すIT投資5兆ドルの守り方

AI時代を迎え、世界の最高情報セキュリティ責任者(CISO)たちの考え方が大きく変化しています。Absolute Softwareが米国のCISO 500人を対象に実施した調査によると、83%が従来の対策よりも「サイバーレジリエンス」を重要視していると回答しました。これは「侵害は避けられない」という前提に立ち、攻撃後の迅速な事業回復能力を重視する考え方です。背景には、89%の組織で生成AIが利用されているものの、その44%が利用状況を把握できていない「シャドーAI」問題の深刻化があります。可視性の喪失がデータ侵害につながるという懸念から、CISOの90%が既にレジリエンス戦略を実施しており、セキュリティ戦略のパラダイムシフトが鮮明になっています。 AI時代のセキュリティは「レジリエンス」へ--CISO調査が示すIT投資5兆ドルの守り方

日立ソリューションズ・クリエイト、量子コンピューター時代を見据えリモートアクセスのセキュリティ強化

日立ソリューションズ・クリエイトは、リモートアクセスシステム「DoMobile」の最新版Ver.5の提供を開始しました。この新バージョンは、将来の量子コンピュータによる暗号解読の脅威に対応するため、耐量子計算機暗号(PQC)を組み込んでいるのが最大の特徴です。特に、暗号化されたデータを今のうちに盗んでおき、将来量子コンピュータが実用化された際に解読する「ハーベスト攻撃」への対策として注目されます。DoMobile Ver.5は、米国立標準技術研究所(NIST)が進める標準化技術を採用しており、追加費用なしで標準機能として提供されます。同社によると、PQC機能を備えたリモートアクセス製品の提供は日本市場で初となります。 日立ソリューションズ・クリエイト、量子コンピューター時代を見据えリモートアクセスのセキュリティ強化

「OpenSSLの問題が深刻化している」と暗号ライブラリの開発者らが指摘

暗号処理用Pythonライブラリ「pyca/cryptography」の開発者らが、広く使われているオープンソースライブラリ「OpenSSL」の方向性に深刻な問題があると警鐘を鳴らしています。2021年にリリースされたOpenSSL 3は、パフォーマンスの大幅な低下、APIの複雑化、テストカバレッジの欠陥といった問題を抱えていると指摘。例えば、楕円曲線公開鍵の読み込み速度は旧版より5~8倍遅く、このパフォーマンス低下は設計上の問題だとされています。開発者らは、これらの問題は資金や人員不足が原因ではなく、技術的な判断ミスが重なった結果だと分析。将来的には、LibreSSLBoringSSLAWS-LCといった代替ライブラリへの移行を検討していることを明らかにしました。 「OpenSSLの問題が深刻化している」と暗号ライブラリの開発者らが指摘

ネットワーク境界防御では防げない、大損害をもたらす「外部侵入口」への対処法

現代の企業は、外部委託先やクラウドサービスなど、複雑に接続されたエコシステム全体で事業を運営しており、従来の「境界防御」だけではセキュリティを確保できなくなっています。特に金融業界では、データ侵害の平均コストが約608万ドルに達し、その多くがサードパーティに起因しています。この記事では、従来の契約順守を中心としたベンダーリスク管理(VRM)の限界を指摘。攻撃者がサプライチェーンの下流(Nthパーティー)を狙う現状では、リアルタイムかつ継続的なリスクモニタリングが不可欠だと解説しています。脆弱性スキャン、ダークウェブ監視、セキュリティ評価などを通じてサプライチェーン全体のリスクを常時把握し、早期警戒と自動防御を組み合わせた統合的フレームワークを構築することが、唯一の現実的な解決策であると提言しています。 ネットワーク境界防御では防げない、大損害をもたらす「外部侵入口」への対処法

パロアルトネットワークス、セキュリティコンサル「Unit 42」を日本語で国内提供開始

パロアルトネットワークスは、世界的に評価の高いセキュリティコンサルティングサービス「Unit 42」の日本での本格提供を開始しました。これまで英語で提供されていたサービスが、国内人材による日本語での対応が可能になります。Unit 42は、サイバー攻撃の予防から、インシデント発生時のフォレンジック調査や封じ込め、攻撃者との交渉、そして事後の改善提案までを一貫して支援します。特に、ランサムウェア攻撃を受けた際の攻撃者との交渉代行は特徴的なサービスの一つです。サービスは「リテーナー契約」に基づき、事前に購入したクレジットを消費して利用する形態で、インシデント対応だけでなく、平時のアセスメントや演習にも活用できます。 パロアルトネットワークス、セキュリティコンサル「Unit 42」を日本語で国内提供開始 | IT Leaders

ロシア語圏サイバー犯罪アンダーグラウンドの特徴

トレンドマイクロは、現代のサイバー脅威の中心となっているロシア語圏のサイバー犯罪アンダーグラウンドの実態について解説しました。この市場は、攻撃を分業化する「エコシステム」として成熟しており、世界最大規模に成長しています。フィッシング攻撃用のターゲットリストやモバイルボットネットのレンタルなど、攻撃の各プロセスが商品として取引されています。資金洗浄には「仮想通貨ミキサー」が使われ、追跡を困難にしています。さらに、生成AIを悪用した高精度なディープフェイクの作成や、漏洩した生体認証情報と個人情報を組み合わせた偽の身元作成など、新たな脅威も生まれています。これらの脅威に対抗するためには、攻撃を予測して防御する「プロアクティブセキュリティ」が不可欠だと専門家は指摘しています。 ロシア語圏サイバー犯罪アンダーグラウンドの特徴

考察

本日選択した記事からは、サイバーセキュリティの最前線が「AI」を軸に大きく動いていることが明確に読み取れます。AIは、セキュリティ運用を自動化・高度化する「防御の切り札」として期待されています。Dropzone AIが提供する「AI SOCアナリスト」は、人間のアナリストの業務を代替し、膨大なアラートを高速に処理する未来像を示しました。一方で、攻撃者もまた生成AIを悪用し、より巧妙で大規模な攻撃(AIマルウェアやフィッシングなど)を仕掛けており、まさに「AI対AI」の攻防が始まっています。この新しい脅威に対し、AppGuardが提唱する「デフォルト拒否」のような、検知に頼らない抜本的な防御思想が注目されています。🤖

このような状況の変化は、セキュリティ戦略の根本的な見直しを企業に迫っています。CISO(最高情報セキュリティ責任者)の意識は、侵入を完全に防ぐ「予防」から、侵害を前提として迅速に回復する「サイバーレジリエンス」へとシフトしています。また、自社の防御壁を固めるだけでは不十分で、取引先やクラウドサービスを含む「サプライチェーン」全体のリスク管理が経営の重要課題となりました。さらに、OpenSSLのようなインターネットの根幹を支える技術に潜む問題や、PQC(耐量子計算機暗号)のような未来の脅威への備えも始まっており、セキュリティはますます複雑で多層的な課題となっています。これらの動向は、セキュリティが単なる技術的問題ではなく、事業継続を左右する経営戦略そのものであることを強く示唆しています。📈

\ Get the latest news /