AIエージェントがセキュリティの主役に?🤖 設計段階から防御する新時代へ(2025年12月16日ニュース)

今日のサイバーセキュリティニュースは、AI、特に「AIエージェント」が業界の主役に躍り出ていることを色濃く示しています。もはやAIは単なる分析ツールではなく、自律的に脆弱性を発見し、インシデントに対応する存在へと進化しています。開発の設計段階からセキュリティを組み込む「デザイン主導型」という新しい概念を提唱するスタートアップが登場し、AIエージェント技術の標準化を目指す巨大なコンソーシアムも発足しました。一方で、信頼していたはずのブラウザ拡張機能が大規模なマルウェア感染源となるなど、サプライチェーンのリスクはより身近で深刻な問題となっています。大手プラットフォームのガバナンス不全や、セキュリティ企業の買収に伴う地政学的なリスクも見過ごせません。未来予測から具体的な導入事例まで、今日のニュースはセキュリティの「今」と「未来」を多角的に映し出しています。🕵️‍♂️

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コードを書く前にセキュリティを担保、AIエージェントが「設計段階」から脆弱性を防ぐClover Securityが3,600万ドル調達

イスラエル発のセキュリティスタートアップClover Securityが、3,600万ドルの資金調達を発表し、ステルスモードを解除しました。同社が提唱するのは、コード完成後に脆弱性をスキャンする従来の「シフトレフト」からさらに進んだ、「デザイン主導型(design-led)」アプローチです。この手法では、AIエージェントがConfluenceの仕様書やJiraのチケット、Slackでの会話といった開発の設計段階から介入し、脆弱性リスクをプロアクティブに予測・指摘します。AIによるコード生成が加速する中、開発者が気づかないうちに脆弱なコードが本番投入されるリスクは増大しており、CloverのAIエージェントは経験豊富なセキュリティエンジニアのように振る舞い、設計段階で問題を未然に防ぎます。すでにUdemyPlaidなど、Fortune 500企業を含む数十社が導入しており、ステルス期間中に数百万ドル規模の年間経常収益(ARR)を達成するなど、市場から高い評価を得ています。🛡️

コードを書く前にセキュリティを担保、AI エージェントが「設計段階」から脆弱性を防ぐClover Securityが3,600万ドル調達

Agentic AI Foundation(AAIF)発足

Linux Foundationは、AIエージェント技術のオープンな標準化と普及を目的とした新たな組織「Agentic AI Foundation(AAIF)」の創設を発表しました。創設メンバーには、AWSGoogleMicrosoftOpenAIAnthropicといったAI業界の巨人が名を連ねています。この取り組みは、AIエージェントが自律的に意思決定し相互に連携する新時代において、透明性と協調性のあるエコシステムを築くことを目指すものです。創設にあたり、AnthropicからはAIモデルと外部ツールを接続する標準プロトコル「Model Context Protocol(MCP)」、OpenAIからはAIコーディングエージェントの動作を規定する「AGENTS.md」、BlockからはローカルファーストのAIエージェントフレームワーク「goose」が寄贈されました。これらのOSSプロジェクトを基盤とし、相互運用可能で安全なAIエージェント開発の標準化を進めるとしています。🌐

Agentic AI Foundation(AAIF)発足 寄贈されたMCP、AGENTS.md、gooseはどうなるのか

ChromeとEdgeで430万人が感染、“Google正規の拡張機能”がマルウェアだった

セキュリティベンダーのKoi Securityは、「ShadyPanda」と名付けられた攻撃者グループが、正規のブラウザ拡張機能を悪用して430万人以上のユーザーをマルウェアに感染させていたと発表しました。驚くべきことに、攻撃に悪用された拡張機能の一つである「Clean Master」は、Googleから「Verified」(認定済み)や「Featured」(おすすめ)のバッジが付与され、5〜6年間も正規のものとして運用されていました。攻撃者はChromeEdgeの自動更新メカニズムを悪用し、悪意のあるアップデートを配布。感染したブラウザは閲覧履歴やブラウザフィンガープリントを収集・送信するスパイウェアと化し、リモートからのコード実行も可能な状態でした。この事件は、公式マーケットプレイスの審査を通過した信頼できるはずのソフトウェアが、サプライチェーン攻撃の温床になり得る危険性を浮き彫りにしています。😱

ChromeとEdgeで430万人が感染、“Google正規の拡張機能”がマルウェアだった

Cloudflare、2025年のトップインターネットトレンドを発表

Cloudflareは、同社のグローバルネットワークから得られたデータに基づき、2025年のインターネットトレンドをまとめた年次レポート「Year in Review」を公開しました。セキュリティ分野では、AIボット間の「ボット戦争」が激化し、特にGoogleのクローリングボットが自動トラフィックの最大のソースとなっていることが判明。また、サイバー攻撃の標的にも変化が見られ、初めて市民社会や非営利団体が最も攻撃されるセクターとなりました。これは、これらの組織が保有するデータの機密性や金銭的価値が狙われたものとみられます。一方で、将来の量子コンピュータによる解読脅威に備える「ポスト量子暗号(PQC)」が、人間が生成する全トラフィックの52%を保護するまでに普及するなど、防御技術の進展も見られました。📈

Cloudflare Publishes Top Internet Trends for 2025

2026年に台頭するAIエージェントやWeb 4.0、量子計算技術の進化に関するリスクとは

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは、「2026年のサイバーセキュリティ予測」を発表し、新たなテクノロジーがもたらすリスクについて警鐘を鳴らしています。予測では、自律的に行動する「AIエージェント」の台頭により、AIガバナンスや監査証跡の仕組みが急務になると指摘。また、AIを悪用したディープフェイクなどの高度な攻撃が増加し、認証技術の進化が求められるとしています。さらに、Web 4.0時代には、空間コンピューティングやデジタルツインが普及し、没入型インターフェースとデータの両方を保護する統一的なセキュリティモデルが必要になると予測。量子コンピュータの実用化を見越して暗号化データを今のうちに窃取する「HNDL(Harvest Now, Decrypt Later)」攻撃への対策として、ポスト量子暗号(PQC)への移行も急務であると強調しています。🔮

2026年に台頭するAIエージェントやWeb 4.0、量子計算技術の進化に関するリスクとは

NVIDIAが小型かつ高性能なオープンAIモデル「Nemotron 3」シリーズを発表

AIチップの巨人NVIDIAは、エージェントAI開発を加速させるオープンAIモデル群「Nemotron 3」ファミリーを発表しました。このファミリーは、300億パラメータの「Nano」、1000億の「Super」、5000億の「Ultra」という3つのサイズで構成され、開発者が自社のデータや規制に準拠した「ソブリンAI」を構築できるよう支援します。特に「ハイブリッド潜在Mixture-of-Experts(MoE)」アーキテクチャを採用し、必要な部分だけを活性化させることで、高い性能を維持しつつ推論コストを大幅に削減。すでに公開されたNanoモデルは、従来比でスループットが4倍に向上し、AI分析企業からは「同クラスで最もオープンかつ効率的なモデル」と高く評価されています。NVIDIAはモデルだけでなく、3兆トークン規模の学習データセットやライブラリも公開し、AIエコシステムの透明性と効率性の向上を目指します。🚀

NVIDIAが小型かつ高性能なオープンAIモデル「Nemotron 3」シリーズを発表

中国発の詐欺広告に甘いMeta、数千億円規模の収入優先か

Meta Platformsが、同社のプラットフォーム上で横行する中国発の詐欺広告問題に直面しています。ロイターが確認した内部文書によると、Metaの中国事業における年間広告収入180億ドル(約2.8兆円)のうち、約19%にあたる30億ドル強(約4643億円)が、詐欺や違法ギャンブルなどの禁止コンテンツに由来する広告だと社内で計算されていました。Metaは一時的に対策チームを設置し、問題のある広告を半減させることに成功しましたが、マーク・ザッカーバーグCEOの介入後にチームは解散。その後、再び不正広告が急増し、中国からの広告収入の約16%を占める状況に戻ったとされています。この問題は、巨大プラットフォームが収益を優先し、ユーザー保護を怠っている可能性を示唆しており、企業のガバナンス体制が厳しく問われています。💸

中国発の詐欺広告に甘いMeta、数千億円規模の収入優先か ザッカーバーグCEO関与の疑いも

政府機関や病院が使う機密性の高いメッセージアプリ「Zivver」がイスラエル情報機関とつながる企業に売却され専門家が危険視

欧州の政府機関や病院で機密情報の共有に広く利用されてきたオランダのセキュアメッセージングアプリ「Zivver」が、米国のデータセキュリティ企業「Kiteworks」に売却されたことで、深刻なセキュリティ懸念が浮上しています。調査報道機関Follow the Moneyによると、Kiteworksの経営陣の多くはイスラエルの諜報機関「8200部隊」の元メンバーで構成されています。この買収により、欧州市民の機密性の高い個人情報や政府・医療データが、米国の法律下におかれ、イスラエル情報機関と繋がりのある企業にアクセスされるリスクが生じました。専門家は、これを「国家安全保障上の深刻な脆弱性」と指摘し、なぜこの買収が欧州当局の精査なしに行われたのか疑問を呈しています。🔒

政府機関や病院が使う機密性の高いメッセージアプリ「Zivver」がイスラエル情報機関とつながる企業に売却され専門家が危険視

「超安全」をうたったメッセージングアプリが全員の電話番号とPINを漏えいしていたと判明

「最先端のエンドツーエンド暗号化」と「超安全」を謳っていたメッセージングアプリ「Converso」(後に「Freedom Chat」に改名)に、複数の重大な脆弱性が発見されました。セキュリティ研究者によると、当初のConversoは暗号化されたメッセージのコピーが誰でもアクセス可能なFirebaseバケットに保存されるなど、根本的な設計ミスを抱えていました。問題を修正し「Freedom Chat」として再リリースされた後も、新たな脆弱性が発覚。APIにアクセス頻度制限がなかったため、米国の有効な電話番号を総当たりでテストすることで、全ユーザーの電話番号を特定できる状態でした。さらに、チャンネル機能から全ユーザーのPIN(個人識別番号)も取得可能で、電話番号とPINが紐づけられる危険な状態にあったことが明らかになりました。🕳️

「超安全」をうたったメッセージングアプリが全員の電話番号とPINを漏えいしていたと判明

自動車内外装部品のしげる工業、製造基盤をSASE/EDRでゼロトラストに刷新

自動車部品メーカーのしげる工業は、製造ネットワーク基盤にゼロトラストセキュリティを導入し、3年間マルウェア感染ゼロを継続していることを発表しました。同社は以前、各部門が独自にシステムを構築・運用していたためネットワークが複雑化し、セキュリティ対策にばらつきが生じていました。この課題解決のため、SASE(Secure Access Service Edge)とEDR(Endpoint Detection and Response)を導入し、約3ヶ月でゼロトラスト環境を構築。構築と運用はJBCCのマネージドサービスを活用し、24時間365日のSOC監視によりIT部門の運用負荷を大幅に削減しました。この成功を受け、同社は国内の全拠点へ統一基準を展開し、今後は海外拠点への適用も目指しています。🏭

自動車内外装部品のしげる工業、製造基盤をSASE/EDRでゼロトラストに刷新

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考察

本日のニュースを俯瞰すると、サイバーセキュリティの主戦場が「AIエージェント」と「サプライチェーンの信頼性」という2つの大きなテーマに集約されつつあることが明確に見て取れます。特にAIエージェントは、もはや単なる流行語ではなく、セキュリティの攻防両面で具体的な形を伴って登場しています。Clover Securityが提唱する「デザイン主導型」セキュリティは、開発ライフサイクルの最も上流である「設計」段階にAIエージェントを介入させるという、まさにパラダイムシフトです。これは、脆弱性を「見つけて直す」リアクティブな対応から、「作らせない」プロアクティブな防御への移行を象徴しています。また、Linux Foundation主導の「AAIF」発足は、この新しいエコシステムが健全に発展するための標準化とガバナンスの重要性を示唆しており、業界全体がAIエージェント中心に再編されつつあることを物語っています。🤖

一方で、信頼していたはずの仕組みが攻撃の温床となる「サプライチェーンリスク」は、より深刻かつ身近な脅威として顕在化しています。Googleが認定した正規のブラウザ拡張機能が430万人を感染させた事件は、公式マーケットプレイスでさえ安全地帯ではないという厳しい現実を突きつけました。同様に、Metaの詐欺広告問題や、セキュアな通信を謳うZivverの売却劇は、プラットフォームのガバナンス不全やM&Aに伴う地政学的なリスクが、いかにユーザーの安全を脅かすかを示しています。これは、「誰を、何を信頼するのか」というゼロトラストの原則が、ソフトウェアだけでなく、企業や国家間の関係にまで適用されるべき時代になったことを意味します。性善説に基づいたセキュリティはもはや通用せず、あらゆる接点で検証と監視を行うことが不可欠です。🧐

こうした複雑な脅威環境に対し、企業は具体的な対策を着実に進めています。しげる工業がSASEとEDRを駆使してゼロトラストを実現した事例は、製造業という伝統的な業界においても先進的なセキュリティアーキテクチャが導入可能であることを証明しました。また、Cloudflareやチェック・ポイントの未来予測は、ポスト量子暗号(PQC)やWeb 4.0といった次世代の課題に今から備える必要性を教えてくれます。AIの進化がもたらす革新と、それが生み出す新たなリスク。この両輪を理解し、具体的な対策と将来への洞察をバランス良く取り入れていくことが、これからのセキュリティ戦略の鍵となるでしょう。🔑✨

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