2026年セキュリティの羅針盤:AIが仕掛ける新たな脅威と防御最前線 ⚔️(2025年12月17日ニュース)
今日のセキュリティニュースは、生成AIがサイバー攻防の主戦場になったことを明確に示しています。攻撃者はプロンプトインジェクションなどの新手法でAIを悪用し、我々の個人情報や企業の機密情報を虎視眈々と狙っています。一方で、防御側もAIを活用した脅威検知・対応(AIDR)や、開発段階からセキュリティを組み込むDevSecOpsの進化で対抗しようとしています。また、ランサムウェア攻撃は依然として猛威を振るい、重要インフラや金融システムを狙った攻撃も後を絶ちません。これらの脅威に対し、国際的な規制や企業間の連携がこれまで以上に重要になっています。今日のニュースから、AI時代を生き抜くためのセキュリティ戦略のヒントを探っていきましょう。💡
2026年はプロンプトインジェクションが主要課題に──クラウドストライク予測
クラウドストライクは2026年のサイバーセキュリティ業界予測を発表し、プロンプトインジェクションが主要なセキュリティ課題になると警告しました。攻撃者はAIモデルに隠された指示を埋め込み、セーフガードを回避してエージェントの乗っ取りやデータ窃取を試みるため、プロンプト自体が新たなマルウェアになりつつあると指摘しています。これに対抗するため、AI Detection and Response (AIDR)がEDRと同様に不可欠な存在になると予測。AIの悪用をリアルタイムに可視化し封じ込める能力が求められます。また、防御側は「セキュリティ・オーケストレーター」として、AIエージェント群を指揮し、機械の速度で攻撃に対応する必要があるとしています。AIのID管理も重要で、権限の強いAIエージェントの行動を追跡・制御する仕組みが不可欠になるとのことです。🤖 プロンプトインジェクションが2026年のセキュリティ主要課題に--クラウドストライク
800万人超のユーザーのAIチャットがChromeとEdgeの拡張機能で傍受され営利目的で販売されていたことが発覚
セキュリティ企業Koi Securityの調査により、800万人以上のユーザーが利用するChromeおよびEdgeのブラウザ拡張機能が、AIチャットの会話データを不正に収集・販売していたことが明らかになりました。特にユーザー数600万人を超えるVPN拡張機能「Urban VPN Proxy」は、ChatGPTやGeminiなど主要なAIプラットフォームを標的に、会話データを傍受するスクリプトを内蔵。この機能はデフォルトで有効になっており、ユーザー側で無効化はできません。収集されたデータは、データブローカー会社BiScienceと提携して営利目的で利用されていた可能性が高いと指摘されています。驚くべきことに、この拡張機能はGoogleの審査を経て「Featured(注目)バッジ」を獲得しており、ストアのレビュープロセスの信頼性にも疑問が投げかけられています。😱 800万人超のユーザーのAIチャットがChromeとEdgeの拡張機能で傍受されて営利目的で販売されていることが発覚
アサヒを襲ったQilinが首位、日本企業を狙う「変貌するランサムウェア」の実態
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの最新レポートによると、2025年第3四半期のランサムウェア被害は前年同期比で25%増の1592件に達し、過去最高水準で推移していることが判明しました。特に、2025年9月にアサヒグループホールディングスへの攻撃で犯行声明を出した「Qilin」が最も活発な攻撃グループとなり、月平均75件の被害が報告されています。Qilinは日本企業も標的としており、リークサイトには複数の日本企業名が掲載されているとのこと。また、法執行機関による摘発後も「LockBit」が新バージョンで活動を再開するなど、ランサムウェアグループは分散化・巧妙化しており、企業にとって深刻な脅威が続いています。企業には、多重恐喝などの新たな手口への警戒と、堅牢なバックアップ体制の構築が急務です。🚨 アサヒを襲ったQilinが首位、日本企業を狙う「変貌するランサムウェア」の実態
2026年に欧州の防衛戦略を形成する5つのサイバーセキュリティトレンド
欧州のセキュリティプロバイダーLink11は、2026年のサイバーセキュリティを左右する5つの主要トレンドを発表しました。第一に、DDoS攻撃が他の攻撃を隠すための「陽動作戦」として多用されると予測。第二に、APIの不適切な設定やビジネスロジックの悪用が、データ漏洩の主要な侵入経路になると警告しています。これに対抗するため、第三のトレンドとして、WAF、DDoS対策、ボット管理を統合した「WAAP」プラットフォームへの移行が加速。第四に、AIを活用したDDoS防御が大規模攻撃への対策として不可欠になるとしています。最後に、NIS2やDORAといった規制強化により、サプライチェーン全体のセキュリティと迅速なインシデント報告が企業に厳しく求められるようになると指摘しています。🇪🇺 Link11 Identifies Five Cybersecurity Trends Set to Shape European Defense Strategies in 2026
健全なサードパーティリスク管理のための諸原則
バーゼル銀行監督委員会は、銀行のサードパーティリスク管理に関する新たな国際基準「健全なサードパーティリスク管理のための諸原則」を公表しました。この文書は、銀行が外部委託先やクラウドサービスなどのサードパーティを利用する際に生じるリスクを適切に管理するための枠組みを示しています。具体的には、取締役会の責任、リスク評価、デュー・デリジェンス、契約、継続的なモニタリングなど、銀行に対する9つの原則と、監督当局に対する3つの原則、合計12の原則から構成されています。金融業界に限らず、サプライチェーン全体のセキュリティを考える上で全ての企業にとって重要な指針となりそうです。📄 バーゼル銀行監督委員会による「健全なサードパーティリスク管理のための諸原則」の公表について
なぜ不良データはあなたのAI投資を破滅させるのか
AIプロジェクトの42%がほとんど放棄され、約半数が概念実証(PoC)段階を超えられないという衝撃的なデータが示されました。その最大の原因は、モデルやプラットフォームではなく「データ」の品質にあります。この記事では、多くの組織が「通常のデータ」と「AI対応データ」を混同していると指摘。AIは単にクリーンなだけでなく、意味的な文脈を理解できるデータが必要です。成功のためには、メタデータ管理、設計段階からのガバナンス(データコントラクトなど)、継続的な可観測性、エンドツーエンドのデータリネージ、そして明確な責任体制といった強固なデータ基盤が不可欠であると論じています。質の悪いデータは、AI投資を無駄にするだけでなく、セキュリティ侵害や規制違反のリスクも増大させます。📊 Why Bad Data Is Dooming Your AI Investments
GitHub、コードスキャンアラートの担当者割り当て機能を公開、GitHub Copilotへの直接アサインも
GitHubは、コードスキャンで検出されたセキュリティアラートに担当者を割り当てる機能の一般提供を開始しました。この新機能により、リポジトリの書き込み権限を持つユーザーだけでなく、AIアシスタントである「GitHub Copilot」にもアラートを直接割り当てることが可能になります。担当者にはメール通知が送られ、REST APIを通じた一括操作やカスタム連携もサポート。これにより、開発チームは脆弱性の修正プロセスをより迅速かつ効率的に管理できるようになります。この機能はGitHub Code SecurityおよびGitHub Advanced Securityの利用者が対象で、開発ワークフローにセキュリティを組み込むDevSecOpsの取り組みをさらに加速させることが期待されます。🛠️ GitHubがコードスキャンアラートの担当者割り当て機能を公開、GitHub Copilotの直接アサインも
CoWorker、侵入テストツール「Red Agent」にオンプレミス版を追加
脆弱性診断ツールのCoWorkerは、AIエージェントを活用した侵入テストツール「Red Agent」にオンプレミス版を追加したと発表しました。これにより、インターネット接続が制限される医療、金融、自治体などの機密性の高い環境でも、高度な脆弱性診断やペネトレーションテストが実施可能になります。Red Agentは、AIエージェントがAPI仕様書を自動作成しながら自律的にテストを進行するのが特徴。ホワイトボックステストとブラックボックステストの両方をカバーし、特にクラウド環境での権限分離や横展開攻撃といった現代的な脅威シナリオの検証に強みを持っています。オンプレミス版の導入により、セキュリティ要件が厳しい組織でもAIを活用した最新のセキュリティテストが利用しやすくなります。🕵️ CoWorker、侵入テストツール「Red Agent」にオンプレミス版を追加、機密環境での実施が可能に
ベネズエラの国営石油会社PDVSAがサイバー攻撃を報告、石油物流に混乱か
ベネズエラの国営石油会社PDVSAは、同社がサイバー攻撃を受けたと発表しました。公式には操業への影響を否定していますが、内部情報によるとシステムは依然としてダウンしており、石油貨物の配送に遅れが生じているとのことです。このインシデントは、地政学的な緊張の高まりと経済制裁の中で発生しました。攻撃手法の詳細は不明ですが、ランサムウェアや破壊的なワイパー攻撃の可能性も考えられます。エネルギー供給という重要インフラがサイバー攻撃の標的となることで、経済的、政治的に国家レベルの危機に発展するリスクを改めて示す事例となりました。🛢️ Top Tech News Today: AI & Startup Stories, December 16, 2025
チェルノブイリ原発の防護シールドがドローン攻撃によって大きな被害…国際原子力機関が発表
国際原子力機関(IAEA)は、チェルノブイリ原発4号炉を覆う防護シールド「新安全閉じ込め構造物(NSC)」が、2025年2月のドローン攻撃により深刻な損傷を受けたと発表しました。この攻撃で約15平方メートルの穴が開き、シールドは放射性物質を封じ込めるという主要な安全機能を失った状態にあるとのことです。ウクライナ当局はこの攻撃をロシアによるものと非難していますが、ロシアは否定。IAEAは、放射性物質の漏出リスクが高まっているとして、迅速かつ包括的な修復が不可欠だと強く求めています。これは、物理的な攻撃がサイバー空間の脅威と並行して、重要インフラに壊滅的な被害をもたらす危険性を示しています。☢️ チェルノブイリ原発の防護シールドがドローン攻撃によって大きな被害…国際原子力機関が発表
考察
今日のニュースを俯瞰すると、2026年のサイバーセキュリティが「AIによる攻防の本格化」と「サプライチェーン全体の脆弱性」という2つの大きな軸で展開されることが鮮明になりました。クラウドストライクが予測するように、プロンプトインジェクションはもはや理論上の脅威ではなく、具体的な攻撃手法として確立されつつあります。Urban VPN Proxyのような拡張機能が800万人ものユーザーデータを傍受していた事実は、AIとの対話そのものが新たな攻撃対象(アタックサーフェス)となった現実を突きつけます。これに対し、防御側もAIDR(AIによる脅威検知・対応)やAIエージェントを活用したSOCの自動化など、AIを駆使した対策が急務となっています。🛡️
同時に、サプライチェーンリスクはますます深刻化しています。ソフトウェア開発(GitHub)、金融(バーゼル委員会)、重要インフラ(チェルノブイリ、PDVSA)といったあらゆる領域で、外部委託先や連携サービスが弱点となり得ることが示されました。特に、ランサムウェアグループ「Qilin」がアサヒを攻撃した事例は、日本企業が直接的な標的となっている現実を浮き彫りにしています。こうした状況下で、キヤノンMJとサイバートラストが推進する「eシール」のような、データの出所と完全性を保証する「信頼の基盤」をいかに構築するかが、今後のビジネス継続性の鍵を握るでしょう。個別の対策だけでなく、エコシステム全体でセキュリティレベルを底上げする視点が不可欠です。🌐


