アイコム - 2026年3月期第2四半期決算説明会資料 ★★

基本情報

2026年3月期第2四半期決算説明会資料

2025年11月21日 アイコム株式会社 代表取締役社長 中岡洋詞

2026年3月期 第2四半期決算ハイライト

(単位 :百万円) 2025年3月期 中間連結会計期間 2026年3月期 中間連結会計期間 前年同期比
売上高 17,898 17,012 ▲886(▲5.0%)
売上総利益 8,004 7,301 ▲703(▲8.8%)
販管費 6,397 6,647 250(3.9%)
営業利益 1,607 653 ▲953(▲59.3%)
営業利益率 9.0% 3.8%
経常利益 1,466 1,006 ▲460(▲31.4%)
経常利益率 8.2% 5.9%
親会社株主に帰属する中間純利益 1,050 432 ▲618(▲58.9%)
為替レート(単位:円)
US$ 153.70 146.42
EUR€ 166.35 165.35

売上高

陸上業務用無線通信機器 単位:百万円

2025年3月期 中間連結会計期間 17,898
2026年3月期 中間連結会計期間 17,012

8,383 7,519

※品目別売上高構成は、次項を参照ください。

売上高(地域別)

単位:百万円

地域 2025年3月期 中間連結会計期間 2026年3月期 中間連結会計期間
日本 5,351 6,068
米州(北中南米・その他) 6,326 5,756
EMEA(欧州/中東/アフリカ) 3,066 2,741
アジア・オセアニア 3,153 2,445
合計 17,898 17,012

※地域別売上高構成は、次項を参照ください。

貸借対照表及びキャッシュフローの状況

貸借対照表 単位:百万円

項目 2025年3月期 中間連結会計期間 2026年3月期 中間連結会計期間
資産の部
流動資産 48,685 48,584
固定資産 25,203 26,898
資産合計 73,888 75,482
負債の部
流動負債 4,515 5,509
固定負債 2,012 2,329
負債合計 6,528 7,839
純資産の部
株式資本 62,345 61,945
その他の包括利益累計 5,014 5,697
純資産合計 67,359 67,643

キャッシュフロー 単位:百万円

項目 2025年3月期 中間連結会計期間 2026年3月期 中間連結会計期間
投資活動によるキャッシュフロー -456 -2,363
財務活動によるキャッシュフロー -1,033 -832
現金及び現金同等物の中間期末残高 24,791 22,836

セグメント別売上高-所在地別-

項目 2025年3月期 中間連結会計期間 構成比 2026年3月期 中間連結会計期間 構成比 対前期増減率
売上高 17,898 100.0% 17,012 100.0% ▲5.0%
日本 9,464 52.9% 9,222 54.2% ▲2.6%
北米 6,311 35.3% 5,768 33.9% ▲8.6%
欧州(EMEA) 1,292 7.2% 1,258 7.4% ▲2.6%
アジア・オセアニア他 830 4.6% 762 4.5% ▲8.2%

2026年3月期 業績予想の修正(2025年11月11日公表)

項目 売上高 営業利益 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 1株当たり当期純利益
前回発表予想(A) (2025年5月13日発表) 40,000百万円 4,000百万円 4,460百万円 3,430百万円 238.99円
今回修正予想(B) 36,000 2,550 3,080 1,980 137.96
増減額(B-A) ▲4,000 ▲1,450 ▲1,380 ▲1,450
増減率(%) ▲10.0 ▲36.3 ▲30.9 ▲42.3
(ご参考) 前年実績 (2025年3月期) 37,468 3,721 3,902 2,951 205.63

2026年3月期 配当予想(2025年11月11日公表)

項目 中間 (2024年3月期 実績 25円) 期末 年間 配当性向
2024年3月期 実績 25円 72円 97円 40.2%
2025年3月期 実績 25円 58円 83円 40.4%
2026年3月期 予定 25円 35円 60円 43.5%

※減配の予定
ただし、配当方針「1株当たり年間配当額60円あるいは連結配当性向40%のいずれか高い方を下限とする」に基づき実際の業績に応じて配当を行います。

「配当方針の変更」

<変更前>
当社は株主への利益還元を重要な経営課題の一つとして考えています。株主への利益還元につきましては、安定的な配当の継続を毎期の連結業績に応じて行うことが必要と考えています。具体的には、1株当たり年間配当額 50円 あるいは連結配当性向40%のいずれか高い方を下限とすることを基本方針とします。

<変更後>
当社は株主への利益還元を重要な経営課題の一つとして考えています。株主への利益還元につきましては、安定的な配当の継続を毎期の連結業績に応じて行うことが必要と考えております。具体的には、1株当たり年間配当額 60円 あるいは連結配当性向40%のいずれか高い方を下限とすることを基本方針とします。

 最大市場で苦戦

 米州市場はいくつかの要因で低いパフォーマンスとなっており、市況の回復に時間を要しています。

 アジア市場にも影響

 米政府関税が多くの国でなお定まらない状況が続いています。

米関税措置 (定まらない国が多い)

戦略的製品の販売量の低下

経済先行き不安ムード 在庫の停滞

 全般の対応策

 アメリカ国内の販路の見直し。現地「レップ」(歩合制販売)制度や人員の効率化を行っています。アメリカ現地法人内の「インサイドセールス」要員の強化を行いました。
 業務用無線通信機器の製品ラインナップ刷新および既存製品の改良を進めています。
 コンシューマー向け製品(主に海上用無線通信機器とアマチュア用無線通信機器)の新製品を継続投入しており、市場からの期待を得ています。
 アジア市場は国別に事情を確認の上、そのマーケットに合った対策を行っていきます。
 パートナー企業とのコラボによる戦略的な新規ビジネス開拓(中期的な戦略)。
 ストックビジネスの拡大戦略。IP無線の販売増加と合わせて、携帯電話アプリとの連携など、アイコムの強みを生かすソリューションを提供しています。
 日本国内では高いシェアを維持するため、当社製品ラインナップにない機材等を含めたソリューションの提供を拡大し、顧客要望に応えます。

 アイコム株式会社は成長しています。

「無線」をコアコンピタンスに、いくつもの技術進歩及び経済変動を乗り越え、顧客やステークホルダーのご要望に応えるべく取り組んできました。過去の経験と実績から得た品質とコストパフォーマンスを背景に、2024年には60周年を迎えることができました。今後も更なる飛躍と共に、100年企業を目指します。

 2023年3月期から2025年3月期まで売上高は過去最高を更新

単位:億円

見込み

 着実な基礎体力の増加

 近年は着実に業績を拡大してきました。
 次の成長に向けて、2027年3月期より新たな中期経営計画を策定します。

 ボイット株式会社と提携

 ICOM CONNECTアプリは大阪・関西万博2025にて利用されました。
 IP無線製品との連携を図り、更なるストックビジネス収益を狙います。
 日本国内のソリューション展開の後、海外展開を行います。
(本件の提携について、2025年11月11日のプレスリリースをご参照ください)

 Zetifi社との販売コラボ

 オーストラリア所在のスタートアップ企業
 「スマートアンテナ」というユニークな製品を提供。単純なアンテナからLTE、衛星や緊急通信機能対応などの拡張性のあるソリューション
 当社無線製品とのセットパッケージで豪州CB市場シェア拡大を図ります。
 豪州市場での第1段階の実績により、他市場への展開を図ります。

 イリジウム社との次のステップ

 IC-SAT100/Mは両社にとってのサクセスストーリーとなっています。
 初回のサプライヤー契約の延長を行いました。
 次のコラボとして米軍次世代衛星通信ネットワークが予定されています。「MA-DNX」研究開発を開始。関連パートナー契約を締結しました。
 米国防省をはじめ、同盟国への展開も考えられます。

 MC-PTTを進める

 次世代ブロードバンド公安通信規格Mission Critical PTT (MC-PTT)の初期R&D開始
 既に本分野に実績のあるパートナー企業とのコラボについて基本合意を行いました。
 右の画像モックサンプルを11月上旬の欧州展示会にて公開。

Team Icomキャンパスプロジェクト

 施設の集約

 現在は、大阪本社エリア(半径1.5Km圏内)に4つの事業所が散在、また一部の施設は老朽化がすすむ。
 現本社に隣接して最大4つの社屋の建設を予定。
 設計、品質管理、生産技術の各部門を集約、試験施設等を併設することで、より効率的な製品開発と製造技術との連携強化による設計品質の更なる向上を実現します。
 目標である「500億円」、「100年企業」に向けた事業展開とともに、成長に見合った施設の拡充を図ります。

 主な活動実績(2025年4月~9月)

新製品(3機種)
陸上業務用無線通信機器 :IC-DU7505/7505N
ネットワーク機器 :IP1000CV
アプリケーション :ICOM CONNECT
各種表彰
アイコムの船舶用国際VHFトランシーバー、IC-M510 EVOが2年連続で米国NMEA賞を受賞(NMEA賞は、12年連続の受賞)
アイコムのアマチュア用無線機「IC-7760」が、グッドデザイン賞を受賞(累計30製品目となる記念すべき受賞)
社会活動・CSR
「TOYOTA GAZOO Racing Rally challenge inびわ湖 高島」を無線機でサポート
「大阪・関西万博」の大阪ヘルスケアパビリオンにオフィシャルパートナーとして協力
陸上自衛隊・総務省近畿総合通信局との協同訓練に参加
「ラジオスカウティングinアイコムならやま研究所2025」に協力

<お問い合わせ先>
アイコム株式会社社長室
電話: 06-6793-5301
Email: BMD@icom.co.jp
URL : https://www.icom.co.jp/

投資判断(AI生成)

投資評価: ★★☆☆

評価の理由は、直近の業績が大幅に悪化しているにもかかわらず、経営陣が将来の成長戦略やポジティブなニュース(新製品、提携、施設投資)に重点を置き、短期的な業績悪化の根本原因に対する具体的な対策や見通しの説明が不十分である点にあります。

財務実績の分析:
2026年3月期中間連結会計期間の売上高は前年同期比▲5.0%減の17,012百万円、営業利益は▲59.3%減の653百万円と大幅に悪化しています。営業利益率は9.0%から3.8%へと半減しました。これは、売上減少(▲8.8億円)に加え、販管費が3.9%増加(250百万円増)したことが主因です。売上総利益率の低下(▲8.8%減)も利益圧迫の要因です。

業績予想の修正:
2025年11月11日に発表された通期業績予想は、前回予想から売上高▲10.0%、営業利益▲36.3%、純利益▲42.3%の大幅な下方修正が行われました。これは、第2四半期までの実績が予想を大きく下回ったことを示唆しており、特に米州市場での苦戦が影響しています。

ポジティブ要因とネガティブ要因の比較:
経営陣は、米州市場の苦戦、アジア市場への関税影響を要因として挙げていますが、具体的な回復時期や対策の効果については不透明です。一方で、ICOM CONNECT、Zetifi社、イリジウム社との提携、MC-PTTへの取り組み、新施設建設など、将来の成長に向けた投資や戦略発表が目立ちます。しかし、これらのポジティブな要素が短期的な業績悪化を補うには至っていません。

配当政策:
業績悪化に伴い、2026年3月期の年間配当予想は前年実績97円から60円へと大幅な減配が予定されています。これは、経営陣が現在の業績水準を厳しく見積もっている証左です。配当方針の「下限」が引き上げられたものの、実績ベースでの減配は株主還元への懸念を生じさせます。

結論:
現在の業績悪化は深刻であり、特に米州市場の不振が継続しています。将来の成長戦略は魅力的ですが、短期的な収益性の回復が見通せない状況では、投資評価は厳しくならざるを得ません。

投資判断の根拠:
現状の業績悪化と大幅な業績予想の下方修正、および減配の実施は、投資家心理にネガティブに作用します。将来の成長戦略は評価できるものの、短期的な収益性の回復が見通せないため、「保有」または「様子見」が妥当です。

重要なポイント:
1. 営業利益率の急落: 3.8%への大幅な低下は収益構造の脆弱性を示唆。
2. 米州市場の深刻な不振: 売上高の約34%を占める最大市場での苦戦が業績全体を圧迫。
3. 大幅な業績予想の下方修正と減配: 経営陣の楽観的な見通しが崩れ、株主還元策も後退。
4. 将来投資(施設建設)の継続: 業績悪化下での大規模な固定資産投資はキャッシュフローへの懸念材料。

会社への質問(AI生成)

米州市場の売上高が前年同期比で▲8.6%減少した主な要因(関税影響、在庫停滞、販売体制見直しなど)について、具体的な回復見込みと、販路見直しによるコスト削減効果がいつから業績に反映されるか教えてください。

第2四半期時点で営業利益率が3.8%と大幅に低下していますが、通期予想の営業利益率2.55%(2550百万円/36000百万円)達成に向け、第3四半期以降の利益率改善策と、その具体的なマージン改善目標を教えてください。

施設集約のための大規模な固定資産投資が計画されていますが、現在の業績悪化とキャッシュフロー状況を踏まえ、投資計画の変更や延期は検討していないか、また、投資回収期間の見通しについて教えてください。

売上倍増のための施策(AI生成)

施策名 成功率(%) インパクト 評価コメント
米州市場向け戦略的製品ラインナップの再構築と販売チャネルの最適化 60% S 米州市場の不振が深刻なため、最優先で取り組むべき。既存の「レップ制度見直し」を具体化し、高付加価値製品(イリジウム社提携製品など)へのシフトを加速させる。成功の鍵は、現地パートナーとの連携強化と、関税リスクを回避できる製品構成への転換。
IP無線ソリューションとストックビジネスのグローバル展開加速 75% A ICOM CONNECTやZetifi社との連携を強化し、IP無線によるソリューション提供を加速。特に、既存の業務用無線市場に加え、新たな収益源としてストック型収益の比率を高める。成功には、海外でのソリューション提供体制の構築が不可欠。
アジア市場向けローカライズ戦略の徹底と新規開拓 65% A アジア市場は国ごとに事情が異なるため、画一的な戦略ではなく、各国の規制やニーズに合わせた製品・価格戦略を策定。特に成長が見込まれる地域へのリソース集中と、関税リスクを考慮したサプライチェーンの最適化が必要。
MC-PTT関連技術の早期事業化と特定市場への集中投入 50% B 将来的な成長ドライバーとなるMC-PTT分野へのR&D投資を継続しつつ、初期の顧客獲得に注力。特に米軍次世代ネットワーク関連の成果を早期に他市場へ展開する。成功には技術的優位性の確立と、パートナーシップの深化が求められる。

最優先戦略(AI生成)

最も優先すべき戦略は、「米州市場向け戦略的製品ラインナップの再構築と販売チャネルの最適化」です。

現在の業績悪化の最大の要因は、売上高の約34%を占める米州市場での苦戦です。この市場でのパフォーマンス回復なくして、売上倍増は困難です。資料では「米州市場はいくつかの要因で低いパフォーマンスとなっており、市況の回復に時間を要しています」と述べるに留まり、具体的な回復シナリオが不明瞭です。

この戦略の核心は、単なる販売体制の見直し(レップ制度の効率化など)に留まらず、製品ポートフォリオの抜本的な見直しです。米政府関税の影響が不透明な状況下では、関税対象となりやすい製品の依存度を下げ、高付加価値で関税の影響を受けにくい、あるいは代替可能なソリューション(例:イリジウム社との提携製品やIP無線ソリューション)へのシフトを加速させるべきです。

具体的には、米州市場の顧客セグメントを再評価し、収益性の高いセグメントにリソースを集中させます。また、現地法人の「インサイドセールス」強化と並行して、販売パートナーの選定基準を見直し、高付加価値ソリューションの提案能力を持つパートナーとの連携を強化する必要があります。この戦略の成功には、短期的な売上減少を覚悟しつつ、高収益体質への転換を図る経営判断が求められます。

ITコンサルからの提案(AI生成)

提案するITコンサルティング支援は、主に「米州市場向け戦略的製品ラインナップの再構築と販売チャネルの最適化」および「IP無線ソリューションとストックビジネスのグローバル展開加速」を技術面からサポートするものです。

  1. 販売チャネル最適化のためのデータ分析基盤構築とCRM高度化:

    • 目的: 米州市場における販売チャネル(レップ制度、インサイドセールス)のパフォーマンスを定量的に評価し、リソース配分を最適化する。
    • 支援内容: 既存の販売実績データ、顧客情報、製品構成データを統合したデータウェアハウスを構築。CRMシステムと連携させ、各販売チャネルの貢献度、リードタイム、成約率をリアルタイムで可視化するダッシュボードを開発します。
    • 期待される効果: 非効率な販売チャネルの早期特定と、高付加価値製品を扱うチャネルへのリソース再配分をデータに基づいて実行可能にし、販売効率を向上させます。
  2. IP無線ソリューション提供のためのプラットフォーム統合と自動化:

    • 目的: ICOM CONNECTアプリとIP無線製品の連携を強化し、ソリューション提供のリードタイムを短縮し、ストックビジネスの基盤を整備する。
    • 支援内容: 既存のバックエンドシステムとICOM CONNECTプラットフォーム間のAPI連携を標準化し、顧客ごとの設定や保守管理プロセスを自動化するワークフローを構築します。
    • 期待される効果: ソリューション提供にかかる人件費を削減し、海外展開時のスケーラビリティを確保します。これにより、ストックビジネスの収益計上を迅速化します。
  3. サプライチェーンの関税リスク対応のための需要予測高度化システム導入:

    • 目的: アジア市場を含むグローバルな需要変動と、米国の関税政策の不確実性に対応した在庫最適化を図る。
    • 支援内容: AI/機械学習を活用した需要予測モデルを導入し、地域別・製品別の在庫水準を動的に最適化します。特に、関税リスクの高い製品については、安全在庫水準を自動で調整するロジックを組み込みます。
    • 期待される効果: 在庫の停滞リスクを低減しつつ、販売機会損失を防ぎます。これにより、キャッシュフローの改善と、製品ラインナップ再構築に伴う在庫評価損リスクを軽減します。