南海化学 - 2026年3月期 中間決算説明資料 ★★

基本情報

2026/3期 中間決算説明資料

2025年11月 南海化学株式会社

2026/3期中間決算概要

売上高は、化学品事業、各種塩事業ともに増収。前年比+4.4%。営業利益は、賃上げ、物流費の増加、原材料価格の高騰などによりコストが上昇したものの、一部製品において価格是正を行ったこともあり、前年比+17.6%。

(百万円) 2025/3期 中間 実績 売上高比率 2026/3期 中間 実績 売上高比率 変化率
売上高 8,788 100.0% 9,176 100.0% +388 +4.4%

経常利益増減要因分析

原材料、賃上げ、物流費の増加等によるコストの上昇、および前期の一過性補助金収入の減少を電解製品を中心とした販売価格の一部是正でほぼカバー。

経常利益増減要因 (億円)

(グラフの数値は省略し、構造のみを記述)

2025/3期 中間経常利益数量差 販売単価差 原価単価差 販管費 補助金収入 その他2026/3期 中間経常利益

セグメント別業績:化学品事業

売上高はアグリを除き増収。利益は原材料、賃上げ、物流費の増加等を電解製品を中心とした販売価格の一部是正でカバー。

業績推移 ポイント

[サブセグメント別売上高]

(億円) 2025/3期 中間 2026/3期 中間 増減額 増減率
基礎化学品 57.3 59.8 +2.5 +4%
機能化学品 7.1 7.5 +0.4 +6%
アグリ 7.4 7.3 ▲0.1 ▲1%
環境リサイクル 8.4 8.8 +0.4 +4%
  • 基礎化学品:適正価格の維持・一部是正に取り組み 増加
  • 機能化学品:堅調推移
  • アグリ:微減
  • 環境リサイクル:既存顧客からの引き取り数量増等により 増加

セグメント別業績:各種塩事業

全体の販売数量は微減も、梅用塩の数量増加と価格是正により、前年同期比で増収増益。

業績推移 販売数量比較

(単位:千トン) 2025/3期 中間 2026/3期 中間 増減数量 増減率
販売数量 23.5 23.0 ▲0.5 ▲2.1%

B/Sの状況

富士アミド土地売却対応費用の繰延計上により固定資産が増加、土地手付金の一部追加入金により前受金が増加(土地引き渡し時に振替・精算予定)。有利子負債の削減を進め自己資本比率は良化。

(百万円) 2024/3末 2025/3末 2025/9末 前期比増減
流動資産 9,096 9,096 9,505 9,041 (▲464)
現預金 1,710 1,710 1,703 1,628 (▲75)
売掛債権 3,911 3,911 3,988 3,499 (▲489)
棚卸資産 2,798 2,798 3,142 3,218 (+76)
固定資産 11,144 11,144 12,951 13,853 (+902)
総資産 20,258 20,258 22,471 22,909 (+438)
負債 12,756 12,756 13,967 14,071 (+104)
買入債務 2,624 2,624 2,325 2,164 (▲161)
前受金 1,300 1,300 2,824 3,811 (+987)
有利子負債 (借入金・社債) 4,734 4,734 5,230 4,571 (▲659)
有利子負債 (リース債務) 477 477 410 392 (▲18)
純資産 7,501 7,501 8,503 8,838 (+335)
負債及び純資産 20,258 20,258 22,471 22,909 (+438)

株主優待制度の導入

株主の皆様のご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を高め、より多くの皆様に中長期にわたり保有していただくことを目的に導入。2026年3月末時点の株主様を対象に開始。

導入初回時に限り、100株以上を保有し、継続保有期間が1年未満の株主様にも3,000円相当の当社事業所所在地特産品を贈呈。

保有株式数 株式の継続保有期間 優待品(写真はイメージ)
100株以上 1年以上 3年未満 当社事業所在地特産品(大阪府、和歌山県、高知県)3,000円相当、または寄付
100株以上 3年以上 当社事業所在地特産品(大阪府、和歌山県、高知県)5,000円相当、または寄付

成長戦略:環境リサイクル事業領域拡大~成長への布石造り

環境リサイクル事業の質的・量的拡大と機能強化。

  • 廃硫酸事業の拡大
  • 廃棄物処理事業の拡大
  • 既存事業の強化

(<青岸工場全景>の画像は省略)

2026/3期 業績計画(2025年5月13日の期初公表から変更なし)

化学品事業の販売増、並びに販売価格の一部是正にて、売上は前年度比+9.6%、営業利益は+37.8%を目指す。一過性の子会社土地売却益により当期純利益は大幅な増益予定。

(百万円) 2024/3期 2025/3期 2026/3期 計画 前年比較
売上高 19,987 20,900 22,900 (+2,000, +9.6%)
化学品事業 16,779 16,346 18,360 (+2,014, +12.3%)

※子会社土地売却益:1,200 (売却額 6,500 - 土壌対策費用・税金等 5,300)

株主還元(2025年5月13日の期初公表から変更なし)

当面、株主還元は配当で実施。2024/3期から中間配当も実施し、以降増配を継続。2026/3期は現時点で60円(前期から5円増配)を予定。※2026/3期の土地売却益は、今後の成長投資に備え内部留保に充当。今後も安定配当をベースとしつつ、配当額の増加および配当性向の向上を目指す。

一株当たり配当額(中間/期末)

2023/3期 2024/3期 2025/3期 2026/3期見通し
一株当たり配当額 15円 (ー/15円) 50円 (15円/35円) 55円 (20円/35円) 60円 (25円/35円)
2023/3期 2024/3期 2025/3期 2026/3期見通し
一株当たり利益 1,095.78円 391.94円 586.71円 505.79円 (498.08円 [※])
配当性向 3.8% 8.5% 10.9% (12.0% [※])

※子会社土地売却益除くベース

< 見通しに関する注意事項 >

当資料に記載されている内容は、いくつかの前提に基づいたものであり、将来の計画数値や施策の実現を確約したり保証したりするものではありません。

お問い合わせ先

経営企画部財務・IRグループ
TEL:06-6532-5590 (代表)
Mail:000164zaimu@nankai-chem.co.jp

投資判断(AI生成)

投資評価: ★★☆☆

評価の理由:
南海化学株式会社の2026/3期中間決算は、売上高が前年同期比+4.4%増収、営業利益が+17.6%増益と、コスト上昇を価格是正で吸収し、堅調な推移を示しています。特に化学品事業における基礎化学品や環境リサイクル事業の成長が見られます。

しかし、財務状況にはいくつかの懸念点があります。
1. 利益の質: 経常利益の増減要因分析では、コスト増を「販売価格の一部是正」でほぼカバーしたと説明されていますが、これは一時的な価格転嫁であり、持続的な収益力向上には疑問が残ります。また、2026/3期計画では、当期純利益が子会社土地売却益(12億円)に大きく依存しており、本業の利益水準(営業利益ベース)での成長性は限定的です。
2. B/Sの変動: 固定資産の増加(土地売却対応費用の繰延計上)と前受金の増加(土地手付金追加入金)が目立ちます。これは将来の取引に関連するものであり、資産の質が変化している可能性があります。有利子負債は削減傾向にあるものの、資産構成の変化を詳細に把握する必要があります。
3. 成長戦略の具体性: 成長戦略として「環境リサイクル事業領域拡大」が掲げられていますが、具体的な投資計画やリサイクル事業の収益性に関する詳細な情報が不足しています。

全体として、価格転嫁による一時的な利益改善は見られるものの、持続的な高収益体質への転換や、成長戦略の具体的な実行フェーズについては不透明感が残ります。株主優待制度の導入は魅力的ですが、本業の成長性や収益構造の改善が伴わない場合、株価への持続的なプラス効果は限定的と考えられます。

投資判断の根拠:
保有(ニュートラル)。堅調な中間実績と配当の継続・増額は評価できますが、利益の質や成長戦略の具体性に欠けるため、積極的な買い材料とは判断しにくい状況です。

重要なポイント:
1. コスト上昇を価格是正で吸収しているが、持続的な収益力向上の兆しが見えにくい。
2. 2026/3期計画の当期純利益は、本業外の土地売却益に大きく依存している。
3. 環境リサイクル事業の拡大戦略が抽象的であり、具体的な成長ドライバーが見えにくい。
4. B/S上の固定資産や前受金の増加理由が、将来の取引に関連するものであり、資産の質的変化に注意が必要。

会社への質問(AI生成)

原材料価格高騰や物流費上昇に対し、価格是正でカバーしたとのことですが、価格転嫁が困難な製品や顧客セグメントはありますか?また、価格是正が困難な場合、コスト削減策として具体的にどのような施策を講じていますか?

販売数量が微減している「各種塩事業」において、梅用塩の数量増加と価格是正で増収増益を達成したとのことですが、梅用塩以外の塩製品の販売数量減少の主な要因は何ですか?また、数量減少は今後も続く見込みですか?

環境リサイクル事業の拡大戦略において、廃硫酸事業や廃棄物処理事業の具体的な投資計画や、それらの事業における想定されるマージン構造について教えてください。既存事業とのシナジーや、事業拡大に伴うリスク(許認可、設備投資など)の評価を教えてください。

売上倍増のための施策(AI生成)

施策名 成功率(%) インパクト 評価コメント
環境リサイクル事業の垂直統合と高付加価値化 65% S 既存の廃硫酸・廃棄物処理事業を核に、リサイクルプロセスを高度化し、高純度化学品や特殊素材への転換を目指す。成功には技術開発と設備投資が必要だが、市場の成長性と規制強化の追い風を受ければ大きな成長ドライバーとなる。
基礎化学品事業における特定用途向け製品のシェア拡大 75% A 既存の基礎化学品顧客に対し、特定の産業(例:半導体、電池材料など)向けにカスタマイズした製品を開発・提供し、単価と数量を向上させる。既存顧客基盤を活用できるため成功率は高めだが、競合との差別化が鍵。
機能化学品事業における海外市場への本格展開 50% A 現在堅調な機能化学品事業を、アジアや欧米の成長市場へ展開する。現地の販売網構築や規制対応が必要だが、成功すれば売上規模を大きく拡大できる。
生産プロセスのDXによるコスト構造改革と生産能力向上 80% B 生産ラインのIoT化やAI活用による予知保全、歩留まり改善、エネルギー効率化を進める。直接的な売上増ではないが、利益率改善と生産能力向上により、売上拡大の基盤を強化する。

最優先戦略(AI生成)

最優先戦略:環境リサイクル事業の垂直統合と高付加価値化

南海化学の現状分析に基づくと、化学品事業の基礎化学品は価格是正で利益を確保しているものの、持続的な成長には限界があります。一方、環境リサイクル事業は「既存顧客からの引き取り数量増」により成長しており、市場環境(環境規制強化)の追い風も受けています。売上を倍増させるためには、この事業を単なる廃棄物処理から、高付加価値な化学品製造へとシフトさせる「垂直統合と高付加価値化」が最も重要です。

この戦略の成功率は65%と評価しましたが、これは技術的な課題と設備投資の実行可能性に依存します。しかし、インパクトは「S」であり、売上倍増に不可欠な柱となります。

具体的な実行ステップ:
1. 現状分析とターゲット設定: 現在処理している廃硫酸や廃棄物から、どのような高付加価値な化学品(例:高純度試薬、特定用途の触媒原料など)を製造可能か、技術的な実現可能性と市場ニーズを詳細に分析します。
2. 技術開発とパートナーシップ: 既存の化学品事業の知見を活用し、リサイクル原料からの高付加価値化に必要なプロセス技術を開発します。必要に応じて、専門技術を持つ外部企業との共同開発やM&Aも検討します。
3. 設備投資と生産体制の構築: 高付加価値化に対応するための専用設備への投資計画を策定し、実行します。これにより、単なる処理費用ではなく、製品としての販売収益を確保します。

この戦略は、環境規制強化という外部環境の変化を捉え、企業のコアコンピタンスである化学品製造技術を応用するものであり、持続的な成長と収益性向上に直結します。

ITコンサルからの提案(AI生成)

上記「環境リサイクル事業の垂直統合と高付加価値化」戦略の実行を支援するため、ITコンサルタントとして以下の支援を提案します。

  1. リサイクル原料のトレーサビリティと品質管理システムの構築:

    • 目的: 廃棄物処理から高付加価値製品への転換において、原料の受け入れから最終製品までのトレーサビリティを確保し、品質のばらつきを最小化します。
    • 期待される効果: 各工程での品質データをリアルタイムで収集・分析することで、歩留まり向上と製品品質の安定化を実現します。これにより、高付加価値製品の安定供給が可能となり、顧客からの信頼獲得につながります。
    • 実現可能性: 既存の生産管理システム(MES)との連携を前提とし、IoTセンサーやデータ分析基盤を導入することで実現可能です。
  2. 生産プロセスの最適化とシミュレーション環境の構築:

    • 目的: 垂直統合に伴う新しい化学プロセスやリサイクル工程の最適化を、物理的な試行錯誤を減らして行います。
    • 期待される効果: デジタルツインやプロセスシミュレーションツールを活用し、最適な反応条件やエネルギー効率を事前に特定します。これにより、設備投資前のリスクを低減し、開発期間を短縮します。
    • 実現可能性: 化学プロセスシミュレーションソフトウェアの導入と、既存のプロセスデータ分析基盤の強化が必要です。
  3. サプライチェーン・オペレーションの可視化と最適化:

    • 目的: 廃棄物の収集・運搬、リサイクル処理、高付加価値製品の出荷に至るまでのサプライチェーン全体を可視化し、リードタイム短縮とコスト削減を図ります。
    • 期待される効果: 収集ルートの最適化や在庫の適正化により、物流コストを削減しつつ、顧客への納期遵守率を向上させます。
    • 実現可能性: 既存のERPや物流管理システムと連携し、ダッシュボードによる可視化を実現します。